エリカ・アンギャル (えりか・あんぎゃる)
栄養コンサルタント
- ― エリカさんはミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとしても活躍されていらっしゃいましたが、日本語がお上手なんですね。どのくらい日本にいらっしゃるのですか。
- エリカ 今年で計17年になります。1985年、15歳の時にオーストラリアから大分県に交換留学生として日本に来ました。当初はもちろん、私は日本語ができない、クラスメイトは英語ができない、という状況でさびしいこともありましたが、すぐに仲良くなれました。一番印象的だったのは日本の朝ご飯です。焼き魚、おひたし、お味噌汁、ご飯。パンもジュースもありません。しかもお味噌汁には目がついた煮干しが入っていて、煮干しの目が私の目をじろじろ見ていて。(笑)最初はいじめられているのかと思ったくらいです。数ヶ月で慣れてしまいましたが。
- ― 和食は身体に合いましたか。
- エリカ はい!驚いたことに、ティーンエイジにはつきもののニキビが、1ヶ月ですっかり治ってしまったのです。第二次世界大戦直後までの日本人にはニキビなどなかったと後から調べて分かったのですが、それは和食の素晴らしさがあったからでしょう。野菜やタンパク質がバランスよく取れ、血糖値が急に上がらないのでニキビができにくいのです。また緑茶の成分も、ホルモンをゆるやかに抑える働きがあるようです。10代で日本食に出会ったことは、私がこの仕事をしていく大きなきっかけになりました。
- ― 和食は肌にもいいのですね。そういった食事は日本固有のものなんでしょうか。
- エリカ パプアニューギニア、パラグアイにもニキビができない食生活をしている地域があります。それらの場所にはひとつの共通点があり、それはコンビニやファストフードがない、ということなんです。つまり、加工食品がなく、ココナッツ、フルーツ、魚を中心に食べているのですね。
- ― 食生活だけでそんなに変わるものなんですね。
- エリカ 食事は一番素晴らしい投資です。ミネラル、フィトケミカル、ポリフェノール、リコピン、フラボノイドなどをバランスよくとれば、健康と美容、アンチエイジングに大きな影響が現れます。今の日本人を見ていると、和食をあまり食べなくなってきていることが残念です。特にティーンエイジ。ある女性誌で読者に「食日記」を書いてもらったのですが、朝ご飯に「グミとアイスクリーム」、昼は抜きで夜はクリームパスタだけ。そんな食生活を続けていて「ダイエット」だと勘違いしている。「一食抜いたからフラペチーノ飲んでもいいの。カロリーはそれで減っているから」なんて思っても、栄養バランスは最悪なので肌は荒れます。何よりも将来の健康が不安です。
- ― ミス・ユニバース・ジャパンをみておられて、彼女たちはいかがでしたか。
- エリカ 最初は間違った食生活をしている人は多かったですね。日本人に多い考えのように思いますが、痩せる=キレイと考えていたり。まずは栄養の基本から教えました。朝昼夜にちゃんと栄養素をとって食べること、睡眠を取ること、運動すること。ストレスをためないこと。当たり前のことで、日々積み重ねることがとても大事なんです。きれいになるには、近道はない。候補者たちは、冷え性やかさかさ肌、アトピーなど、誰もが様々なケースを抱えています。実は痩せるよりも、肥らなければならない人も多いんです。ミス・ユニバースはビキニ・ジャッジもありますから、メリハリのある身体が必要になってきます。森理世さんはダンサーでもあり、最初から身体は理想的でした。アジア人でビキニ・ジャッジの1位になるのは奇跡的なことですが、彼女がビキニで1位を取った時は感動しましたね。
- ― 理世さんにはどんなアドバイスをされたのですか。
- エリカ 彼女はとても頑張り屋さんで完璧主義なところがあるから、ストレスがたまりやすい。だからストレス軽減のために深呼吸やリラクゼーションCDを聴くこと、ヨガを勧めました。健康的な美を手に入れるためには、食だけでなく、トータルに生活を見る必要があります。心のケアも大切です。
- ― 肥らなければならない人にはどんな指導をされましたか。
- エリカ 良質のカロリーを摂ることですね。ナッツやアボカドで自然な、いい油をとり、運動しながらきれいに肥ることをすすめました。
- ― カロリーとともに、勘違いしやすいのは、油の摂取についてですね。油抜きダイエットが流行ったこともありましたが。
- エリカ 油抜きは絶対にダメです。ビタミンA、D、E、Kは油がないと吸収できません。ノンオイルドレッシングでは意味がない。ダイエット中でも精製されていない良い油は抜かないように注意してもらいたいですね。
- ― 反対に日本人女性のよいところはありますか。
- エリカ 美意識のレベルが世界的に見ても高く、一般人でもきれいにメイクもちゃんとしているところですね。それに非常にエレガントで可愛らしい。奥ゆかしい、というのはとても素敵なことだと思います。ミス・ユニバースのような世界の舞台では自己主張を表に出すことも要求されますが、普段からそればかりではよくないですよね。知花くららさんはそのバランスがとても上手な人だと思います。
- ― 今、最も注目されている食事の摂り方があったら教えてください。
- エリカ 私も4月に本を書かせていただきましたが「グルテンフリー」は今注目すべき食事法です。ミランダ・カー、ジェシカ・アルバら、ハリウッドのセレブリティの間で大評判ですが、2009年あたりからこれを心がける人が低脂肪ダイエットをしている人の数より多くなりました。わかりやすく言うと小麦粉を避けて食事をとるのです。今の小麦粉は品種改良をされ、小麦の中のグルテンの量が多過ぎて、美味しいパンは作れても、腸の炎症を起こし肌荒れの原因になったり、人間の身体にはあまりよい影響がないのです。私の本『グルテンフリーダイエット』(ポプラ社)で詳しく解説しているのですが、グルテンを含まない主な食品は、ご飯、米粉、魚介類、肉、野菜、果物等。実はご飯を食べ慣れている日本人にはあまり無理をせず取り入れられます。
- ― 「グルテンフリー」は注目ですね。他にこれからエリカさんが提唱していきたいことがあれば教えてください。
- エリカ 今まではフィジカルな話を中心に提唱してきたので、これからはメンタルな部分でも皆さんを元気にすることができればと思っています。世界ではジャパニーズビューティーは評価されているので、日本人はもっと自信を持っていいんです。自分に価値があると思っているか、という意識調査で、アメリカ89%、韓国75%、中国87%の人が自分に価値があると答えたことに対して、日本は36%だったんですね。どんなに人気モデルだってパーフェクトではありません。でも彼女たちは自分の良い点を強調する術をもっています。夢や目標を持って、自分の価値を知り、自分を受け入れて好きになること。それはビューティーの基本でもあります。Beauty,Healthy,Happyという私のフィロソフィーをもって、皆さんの美のお手伝いをしていきたいですね。
美の逸品
「私は朝だけでなく、ちょっとした合間のリフレッシュにも野菜やフルーツのジュースを飲むので、この『Breville 800JEXL Juice Fountain Elite』というジューサーは、生活に欠かせない存在です。定番は、りんご、にんじん、パイナップル、しょうが。無農薬のものを使えば、皮をむかなくてもOk。ジューサーなので、ざらざらした繊維は取り去ってくれ、口当たりのよいジュースができます。繊維はあまり取れませんが、野菜の細胞を破砕するので中身のフィトケミカルが吸収されやすくなります。最後に良質のオリーブオイルをたらせば、吸収率がよりアップします」
エリカ・アンギャル (えりか・あんぎゃる)えりかあんぎゃる
栄養コンサルタント
オーストラリア・シドニー生まれ。 2004年より8年間ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとして、2007年のミス・ユニバース世界大会で優勝した森理世氏をはじめ、世界一の美女を目指すファ…
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