講演依頼.com営業部の加藤です。
「話題のビジネス本」第二十五回目は、宇田川元一さん著『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』 (NewsPicksパブリッシング)をご紹介します。
宇田川さんは主に経営戦略や組織論を専門とされ、大手企業やスタートアップ企業でイノベーション推進や組織改革のためのアドバイザーや顧問をつとめていらっしゃいます。
会社やある組織のなかで、なかなか相手が自分の言っていることを理解してくれない。同じ目的なはずなのにやり方や考え方で衝突し、思うように話が進まない・・・そんなことはないでしょうか。
そんなとき頭の中で、私たちは気付かないうちに「私とそれ」という道具的な構造を作り出してしまっています。もしうまく問題が解決出来なければ相手を変えるのではなく、こちら側が少し変わる必要があります。対話を通して「ナラティブ」を変えていかなければなりません。
ナラティブとは「解釈の枠組み」です。
具体的に例を挙げると、上司と部下の関係では、上司は部下を指導し、評価することが求められ、部下にも従順さを求めます。このように上司たるもの/部下であるならば、こういう存在であるはず、という考えを私たちは持っています。これが「解釈の枠組み」です。ほかにも「医者と患者」「教師と生徒」など様々な枠組みが私の生活の中を取り巻いています。
重要なのはどちらかのナラティブが正しいのかという問題なのではなく、自分のナラティブと相手のナラティブに“溝”があることを見つけて、対話を通して溝に橋をかけることだそうです。そうやって溝に向き合うことで、人や組織を動かすことができるといいます。
まず、そのためには自分の正しさの主張を一旦保留にし、意見が違う相手には相手なりの正しさがある、ということを認めてみます。そして「なぜこの人はこういうことを考えているのだろう」と興味を持って受け入れてみることが対話の第一歩です。それにより「私とそれ」という関係から「私とあなた」という固有の関係が生まれ、溝を埋めることができるのです。
本書では、はじめにそのナラティブの溝を渡るための4つの対話のプロセスを紹介し、実践方法とその中で陥りやすい5つの対話の罠を説明しています。
どこかで自分も「相手の立場になって考える」と分かっているつもりで一方的なナラティブを押し付けていたかもしれない、と本書を読んで気づきを得られました。今まで、なんとなく考えていた対話というものが明確になり、どうアプローチしていけばいいのかモヤモヤしていたものが整理できました。
組織内でのコミュニケーション、対話は大切だと分かっていても抽象的でどうしたらいいのか分からない、具体的な方法を知りたいと考えている方におすすめの内容です。
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