セミナーを開催する際には、成功させるためのポイントがあります。
しかし、初めて開催する場合、「人が集まるのか?」「参加者が満足してくれるには?」「そもそもどのように開催すればいいのか?」など、わからない点・不安な点が多々あるのではないでしょうか。
この記事では、セミナー講師を累計1,900名を紹介したセミナー開催のプロ、 中村潤一(講演依頼.com)が監修し、開催の流れや企画・集客・運営のコツなどをお伝えします。
成功に導くための企画のポイント
セミナーを成功に導くためにはまず、目的、ターゲット、テーマの設定が重要です。
目的やターゲットなどセミナーの骨子を考える
セミナーを企画するにあたり、まず行わなくてはいけないのが、「目的の明確化」です。そのために大切なのは以下の3つの要素です。
- なぜ開催するのか
- 誰に向けて開催するのか
- どんな利益が生まれるのか
以上の視点で検討すると、目的を明確化しやすくなります。そしてこの目的設定こそがセミナーの成功を左右します。
そんな開催の目的ですが、セミナーごとに非常に多様です。例えば、
- 自社商品の紹介
- 新規顧客の開拓
- 見込み顧客へのアプローチ
- 顧客の流出を防ぐ
- 情報提供による収入
などが挙げられるでしょう。企画の担当者間で認識が異なっていたということが無いよう、しっかり定義・確認をしてください。
次に考えるのが「ターゲット」です。法人顧客をターゲットとするB to Bか、個人の消費者をターゲットとするB to Cによっても違いが出てきますし、どのような年齢層や職種・役職の方を呼び込みたいのかによっても、テーマ選びや当日の会場設定、演出などにも影響があります。
つい、多くの方に参加してもらいたいと思いターゲットの間口を広めてしまいがちですが、セミナーの内容がぼやけてしまい、失敗に終わる可能性も高いので注意が必要です。
さらに、セミナー参加者の意識がどの段階にあるかを考慮するようにします。「とりあえず話を聞いてみたい」だけなのか、ある程度「商品に興味を持っている」のかによっても内容が変わってきます。目的やターゲットが明確になると、その後に考えなければならない、「テーマ設定」や「セミナーの内容」なども検討しやすくなります。
ターゲットの興味を引くテーマ選定
ターゲットを設定したら、相手がどんな興味を持っているのか、取り上げるテーマを選定します。
- キャリアアップの仕方
- 新商品開発の極意
- 社内のモチベーションアップの方法
- 老後に困らないためのお金の増やし方
など、できるだけ興味を引きやすいテーマを設定します。求められる事柄や情報・理由を考え、それを満たすことで、セミナーの満足度がぐんと上がります。
準備時の必要事項
次にセミナー開催前に行っておくべき具体的な準備について紹介します。
セミナー講師の選定・オファー
セミナーの講師を誰にするか、候補者が決定したら依頼をします。講師は自社の専門性を持つ社員か、外部から講師を招くのが一般的です。自社の社員であれば、困ることはそうそうありません。しかし外部講師を呼ぶとなると、戸惑う方も多いのではないでしょうか。
外部の講師を依頼する方法は、大きく分けて3つあります。
- 講師に直接依頼する
- 講師が所属している事務所に依頼する
- 仲介会社に依頼する
考えたテーマに沿った講演やセミナーができる講師を知っていれば、1や2の手段を取ることが可能です。
ただ、「はじめての開催なので不安」「打ち合わせの時間が取れない」「講演料の交渉など言いづらいことがある」などがある場合は、3の「仲介会社に依頼する」ことをおすすめします。仲介会社ならば豊富なネットワークを持ち、セミナーの目的やギャランティなどの条件に合わせて担当者が最適な講師を手配してくれます。条件の交渉は仲介会社と行うため、直接、講師とやり取りするよりも話がしやすいです。
定員・日時を決定する際の注意点
次に大切なのがセミナーの規模や日時の設定です。ターゲットに合わせた日時に設定することで、より多くの参加者が見込まれます。
もし既存の顧客がターゲットであるなら、データから参加しやすい日時を絞り込むといいでしょう。
また、特定の業界で働く人をターゲットにした場合には、その業界にとって参加しやすい日時を選ぶことが大切です。土日に休みとなる一般企業と、平日に休みを取ることの多い不動産関係や、サービス業・美容業界などではセミナーに適した日時は変わってきます。セミナーの候補日に、ターゲットの業界内で他に、大きなイベントや学会がないかも確認しておくことも大切です。
祝日のある週はどの業界でも忙しいことが考えられますので、避けるようにしたほうが無難です。
人数に合わせた会場の選定のポイント
次は、想定している定員に合わせてのセミナー会場選定です。
費用面から考慮すると、まず、自社の会議室を検討し、条件に合わなければ貸し会議室などを利用することも考えられます。
ターゲットがエグゼクティブ(経営者・会社役員など)の場合は、高級ホテルの会議室(ボードルーム)や、高層ビル内にある貸し会議室を利用することがほとんどです。
一方、なるべく低価格に抑えたい場合は、公共施設やオフィスビルの一角を、会場として借りることもあります。ただし、もともとセミナー用に作られたスペースではないため、「駅から遠く、参加者が道に迷いやすい」「エレベーターやトイレが少ない」「受付に使えそうなスペースがない」「モニターやスライドが見えにくい」など、トラブルが生じてしまうこともあります。
借りる前にはネットの写真だけで判断せず、現地で確認することをおすすめします。また、借りたい会場がセミナー開催の実績があるかも調べておくといいでしょう。
さらに、会場のあるエリアも重要な要素です。自社の近くでももちろん構いませんが、多くの方に来ていただけるように、交通の利便性などターゲットに適した条件の場所に設定することを考えるのもいいでしょう。
適した人数の運営スタッフを確保する
セミナーの内容と会場が決まったら、開催当日に必要なスタッフの確保を行います。
主に必要となる運営スタッフの役割は、以下の通りです。
- 受付
- 司会・進行
- 音響・映像(規模によってはそれぞれ専任)
- 撮影・録画(宣伝材料に利用、また動画自体を商材とする)
- 誘導・案内役
- 資料準備
- 営業担当
- 個々に解説をする担当
セミナーの規模に応じて必要な役割や人数は細かく変化します。過不足なく配置できるよう、シミュレーションを綿密に行いながらスタッフ数を確保してください。
意外に忘れがちなのが誘導や案内の係です。セミナーの規模や駅からの距離などによっては、主要駅からの案内役や、会場内の誘導役を確保するようにしましょう。
また、忘れてはいけないのが、それらのスタッフを何時間押さえるかということです。セミナーの時間だけではなく、準備、リハーサル、そして撤収までを考えて手配を行うようにします。
もしスタッフの確保が難しい場合は、ボランティアスタッフや専門の業者へ依頼するのも選択肢の一つです。
会場の担当者に、これまで同様の規模のセミナーが行われた際にスタッフはどの程度だったかを、目安としてヒアリングするのも良いでしょう。
申し込み方法・参加費・支払い方法の決定
セミナーの開催が決定したら、参加希望者からの連絡を受けることになります。しかしメールや電話・郵送での申し込みは、参加希望者の心理的または時間的な負担を感じさせてしまうことが多いです。
そこでおすすめなのは、自社サイトや外部ツールなどを利用した入力フォームです。参加希望者は必要事項を入力するだけなので、気軽に応募ができます。ただし、入力フォームを自分で制作する場合でも、外部のサービスを利用する場合でも、動作の確認をきちんとしておきましょう。万一、誤りやエラーがあると、多くの方たちが離脱してしまいます。
申し込みを受け付けるにあたり、事前に告知すべき項目は、タイトル・内容・日時・場所・講師名・主催者名、そして参加費ですが、最も頭を悩ますのが参加費の設定ではないでしょうか。
魅力があると感じられればある程度、高い料金設定でも参加は見込まれます。しかし、参加者の間口を広げたいとなると、低い料金に設定するか、無料にするという手も考えられます。
ただし、無料にした場合は「どうせ無料だから」と、キャンセルが増える危険性があります。
また無料で参加する場合にはさほどセミナーのテーマに大きな興味を示していない場合も多く、結局、セミナーの効果が出ないという場合があるので注意が必要です。
また、参加費の設定で考えなくてはいけないのが経費です。
経費として想定されるのは
- 会場費
- 人件費
- 集客費(広告や告知)
- 資料費(配布物の印刷など)
- 外部講師ならば依頼費用
などです。
以上のようなことでかかる経費と、セミナーによってもたらされる利益(商材の購入に関する利益も含む)を考慮しながら参加費を考えていきます。もし参加費を低く設定したい場合には、セミナーの時間を短くしたり、講演料の低めの講師に依頼したりする方法もあります。
ちなみに、参加者の支払い方法には、インターネット決済・銀行振込・当日の現金決済がありますので、より便利な方法を採用してください。
集客をするための告知のコツ
セミナーの成功にとって、告知は忘れてはいけない要素です。そもそもセミナーが開催されることを知らなければ、参加しようか考慮することもできません。
ただし、集客活動はコストがかかるので、しっかりとポイントを押さえた効率の良い告知をしていきます。
案内文でセミナーの価値をアピール
そこでまずは、自社サイトで目立つように告知を行います。
その際に大事なのは、セミナーのタイトルです。ターゲット層を考慮して、参加したくなるような魅力のあるタイトルにしましょう。ターゲットとなる方にとって、セミナーに参加することがどのようなメリットを生み出すのかを簡潔に盛り込むことも重要です。
もちろん、タイトルに続くセミナーの案内文でも同様に、内容と共にメリットについて伝えるようにします。また、日時・場所・参加料・支払い方法など、基本事項をしっかりと明記してください。
様々な媒体を利用・複数回の告知は必須
自社サイト以外にもできるだけ多くの人の目に触れる機会を持つようにします。
その際、既存顧客向け・新規顧客向けで、告知する媒体を変えていきましょう。
既存顧客には、メールマガジン・ダイレクトメール(DM)・SNSで告知を行うといいでしょう。
新規顧客にセミナー開催を知ってもらうためには、リスティング広告・オウンドメディア・他メディアへ協賛を依頼する手もあります。
特に昨今は、SNSでの告知が必須です。一つだけに決め打ちせず、複数の媒体を利用するのも効果的です。
直前に申し込みたいと考える人もいるため、SNSでは1回のみではなく、定員になるまで前日まで何度も告知するようにします。
集客を行うタイミングですが開始時期が早ければいいというものでもありません。早くにセミナーの開催を知っても先の予定が読めず、「後で」と考えてしまいそのまま放置されてしまうこともあるからです。
参加者へリマインドも忘れずに
特に無料セミナーの場合は、申請があっても当日に来ない参加者はどうしても多くなりがちです。そこで、リマインド(再確認)のメールを送ります。
その性質上、リマインドメールは認識してもらわないと効果を発揮しません。見てもらうためには、例えばリマインダーメールに配布資料のPDFや、会場の地図・持ち物のチェックリスト・当日までに調査してほしい内容(いわゆる宿題)を添えておく方法もあります。
もちろん、メールをしつこく送るのは悪手です。2日(48時間)前を最後にするのがベターでしょう。
セミナー当日の運営の流れ
セミナー当日は本番だけではなく、事前の準備・リハーサルも重要です。参加者に満足してもらうためにも、細かい点のチェックも必要です。
会場準備と機材チェック
会場の準備は、参加者の満足度に大きく影響します。
- テーブルや椅子を配置する
- 配布資料の準備
- 空調の確認(空調のきかない場所の有無など)
- 機材・音響の確認(パソコン・プロジェクター・マイクなど)
他に備品の数が足りているかも確認しておきましょう。
打ち合わせ・リハーサルは入念に
スタッフが多くなるほど、意思の疎通が難しくなります。すべての担当者が打ち合わせに参加し、情報の共有を行います。外部の会場を利用する場合は、会場の担当者とも打ち合わせしましょう。
また、本番がスムーズに進むよう、それぞれの担当者がいるべき位置関係など、入念にリハーサルを行います。スライドが見えづらい、声が会場の後ろまで届きにくいなど、実際にリハーサルをしてみると、思わぬ不具合に気付くことができます。速やかに修正を行い、参加者に「よかった」といわれる本番を目指します。
開場時間よりも早めにスタッフを配置
当日は受付時間より早く来る参加者もいますので、受付は開場時間より早く準備しましょう。受付には参加者の名簿や、配布したいチラシ・パンフレットなどを準備します。参加費を当日払いとした場合には、お釣りや領収書、収入印紙の準備も必要です。
受付の他、誘導スタッフも早めに配置し、駅から会場となる部屋まで、参加者がスムーズに移動できるようにします。また会場にはセミナーや商品について参加者から質問があることも想定し、詳しいスタッフを配置しておくことも重要です。
アフターフォローと次回への展開を考える
セミナーが終わったら、顧客とさらなる関係性が築けるようにするためのアフターフォローをする必要があります。また、継続してセミナーを行っていくために、参加者の声を分析することも大切です。
お礼メールと次回の告知を忘れずに
セミナー後、速やかにお礼メールもしくはお礼状を送りましょう。時期は当日中、遅くとも翌日中には送信してください。セミナー参加への感謝を第一に、さらにその後の商談に結びつけるのが目的です。
欠席者に対しても、今回のフォローアップ(配布した資料の添付)や、次回の予定があれば告知を含めたメールを送ってください。
欠席はしても、一度は申し込みをしてくださった潜在的な顧客であることに変わりありません。将来の取引が成立するよう、機会を逃さないことが大事です。
電話でフォローするケースもありますが、日ごろから関係性のある顧客に限る方が吉でしょう。
アンケートでニーズを見極める
今回のセミナーを糧として、以降の展開を考えるのに重要なツールが、会場で配るアンケートです。
参加者に書いてほしい項目は、以下が主なものです。
- 参加者の基本情報(年齢、職業など)
- どんな問題を抱えセミナーに参加したのか
- セミナーに何を期待したか(どこにメリットを感じて参加したか)
- 実際に参加してどこが良かったか、悪かったか
- 講師への満足度
などです。
満足度が高い点は次回も継続し、不満点は改善策を練るようにします。
開催したセミナーに関することだけではなく、自社や商品についてどう感じているかも質問しておくと便利です。関心が強い見込み客へは、実際に取引につながるような営業戦略を練ることができます。
また、商材の全体的なマーケティングに役立てることもできます。
まとめ
セミナー開催の上で最も大切なのは、「誰に何を伝え、どんな恩恵があるか」を考えることです。目的、ターゲット、内容、日時、会場を設定したら、効果的な宣伝を行い、集客を行うようにします。
また、重要なのが講師選びです。希望条件を伝えやすく、オファーの交渉の手間もかからないなどメリットが大きいのが、講師の手配を専門としている仲介会社に依頼する方法です。
例えば「講演依頼.com」の場合は
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