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なぜ飛び込み営業をすることになったか、経緯を教えていただけますか?
コーセー化粧品で営業マンになり、エリアマネージャーという役割で担当する地域を一人で任されました。しかし、経験と実績のない新人営業マンに与えられたのは、市場性、自社シェアが社内で最も低い最下位エリアでした。先輩が開拓した販売店を引き継ぎ、必死の思いで100%の心血を注げど目標まで到底届かない惨めな2年がアッという間に過ぎさりました。
次の1年を考えられるあらゆる戦術でシュミレーションしてみた結果、これまでの2年と同じ客相手に同じやり方では決して打開できないと諦めました。どうやったらうまくいくのか?と悩んでいたころ偶然見つけた10年以上前の社内報の先輩社員の記事に感銘を受けます。
そこには「市場性など関係ない、ライバル社がすでに自分の担当エリア内すべての化粧品店でシェアを占有しているのなら、自分の力で異業種だろうが民家だろうが一から教えてでも有力な販売店に育て上げて見せる」という一見無茶苦茶なインタビュー記事でした。
自分と同じ境遇から理屈を超えて「行動」で道を拓き、社内トップ成績を挙げ続ける先輩社員の情熱がほとばしる言葉に、迷いが吹っ切れ「飛び込み営業」で猛然と新規開拓を始めました。
失敗したことを教えてください
当然ですが、目的が「目標の達成=自分の利益」であり、その願望によって強烈なほどに視野が狭くなり、全くと言っていいほど相手の立場にたつことができなくなってしまいます。さらには、知らず知らずのうちに、表情に口調に雰囲気に「利己的」を感じさせるサインが出てしまっていました。そのため、初対面の相手から「怪しい奴」「警戒しておこう」「合わない人だ」という対応を引き出してばかりいました。
毎日毎日、拒絶、否定、嫌悪、無視、などの存在を否定される態度、表情、言葉に遭遇していると、無意識レベルで「顔・姿勢・声」が卑屈になっていきます。つまり、目つきだけは「我欲」でギラギラ、身体は「卑屈」という、典型的な「つかめない=飛び込み営業不向き」な売れない営業マンの出来上がりです。
すると類は友を呼ぶで、ツキのない客、ヒマで話し好きな客といった新規訪問を重ねても成約可能性ゼロか契約できても売れない客のところばかりに足が向くという、売れないスパイラルにハマっていきました。
飛び込み営業のコツを教えてください
ズバリ、「相手を一瞬でつかむ」ことです。どうやったら初対面の相手を一瞬でつかむことができるのか?これを語りだすと90分の講演が始まってしまうのですが(笑。箇条書きにすると、
・表情筋トレーニング法を使って、緊張感を消す=ミラーニューロンによって営業マンの緊張が相手を緊張させるからです。
・日常での「観察=外見の情報から観て察する」「洞察=目ヂカラで洞(心の中)を察する」トレーニング法
・つかめる声、つかめる表情、つかめる姿勢、つかめる目ヂカラ、つかめる空気、を創るトレーニング
・90秒一気読み自己紹介シナリオを創って徹底ロールプレイングで事前準備
・相手の情報を事前に検索して準備し、会った瞬間に旧知の知人に再会したときくらいの歓びを湧き上がらせるイメージトレーニング
・プレゼン中のアクシデント、予期せぬ質問に出会う、ことを予めすべて想定内にするシュミレーションと対応策を事前準備しておくと、書き出していくときりがないのですが、闇雲に訪問量を増やすことではなく、つかむための事前準備こそが飛び込み営業のコツです。
先に失敗談でも書きましたが、いくら「やる気を出せ」「大丈夫だ」と激励しても、訪問先で「つかむ」どころか「スベル」ことを毎日毎日繰り返していれば、モチベーションは最低レベルとなります。「モチベーション」「つかみ」「交渉で勝つ方法」つまり、「飛び込み営業でうまくいくコツ」は脳科学で解明されています。
現在飛び込み営業をしている人に向けて一言お願いします
「営業職」の中でも「飛び込み営業」は、もっとも難易度が高い営業方法です。一方では、「営業=人間を科学する」と定義する私から言わせれば、もっとも営業技術を習得できる場です。ひとりひとり多種多様で、さらに状況でコロコロ変化して、まるでつかみどころがないように見える「人間」の感情変化や決断、行動にも法則があります。その法則はマニュアルにもなっていますが、文字にするとあまりに膨大で難解です。私も、もっと理解しようと44歳から大学院に入って研究しましたが途方にくれました。
でも、「営業=人間を科学する」ことにおいては、実戦では日本トップクラスです。なぜか?「飛び込み営業」で膨大な数の多様な人間(客)を観察して洞察してきたからです。言い換えれば、「人間」の膨大なデータベースを脳というハードディスクに入力してきたからです。初対面で出会う人が口を揃えて私にこう言います。
「いやぁ~ ツカまれました」
出会った瞬間に相手の心をつかむ、ことができたとしたら、相手のお困りごとがわかります。相手のお困りごとがわかれば、私が役立てることがわかります。私が役立てることがわかって、相手が心を開いていれば価値を伝えることができます。価値を伝えることこそ、営業の大事な役割です。
飛び込み営業は作業ではありません。相手を受け容れ自分を開く、極めて高度で知的な、コミュニケーションです。
いとう伸いとうしん
講演家
1962年生まれ、東京在住。 50億円売った実演販売のカリスマとしてマスコミ取材が殺到、経済産業省、企業・経営者団体で年間講演150回超の人気講演家となる。目ヂカラと表情筋で聴衆の五感を刺激する独特…
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