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リフォームから見えてくる 人の暮らし

今泉なな子

今泉なな子

(株)セプト 取締役 チーフデザイナー

今月はインテリアコーディネーターの今泉なな子さんです。
インテリアコーディネーターというお仕事をはじめられるキッカケから、
今注目のリフォームのお話をお訊きしました。

 

(株)セプト 取締役 チーフデザイナー

1971年、明治学院大学文学部卒業。
設計事務所を経て独立。

1990年インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリスト資格取得。
同年、(株)セプト設立、取締役チーフデザイナーに就任。
商業施設士・建築施工管理技師。

日本フリーランスインテリアコーディネーター東京会員の理事。
テレビ東京「テレビチャンピオン・ インテリアコーディネート王選手権」 の初代チャンピオン。

リフォームから見えてくる 人の暮らし

――大学を卒業された後、インテリアコーディネーター・建築専門学校を卒業されるまで15年間ありますが、この間は主婦をされていたのですか?

 そうです。主婦兼アルバイトですね。水泳のインストラクターをずっとやっていました。今の仕事と全然関係ないですけど。アルバイトで稼いだお金でインテリアの本買ったり、自分の家の中を飾ったりしていました。自分でカーテンや小物、ガーデニングなど、作るのが好きだったんです。趣味でね。お友達が来たり、主人が帰ってきて驚くのが嬉しくてやっていました。

今泉なな子――IC専門学校へ入ろうと思ったきっかけも?

 そ好きだったからですね。本当は美大に行きたかったんですよ。絵を描いたり、そういう系統に行きたかったんですけど、両親にこれ以上変な不良になったら困ると反対されて、仏文科へいったんですよ(あまり変わらないと思うけれど・・・)。仏文科を選んだ理由は、父が貿易商やっていて英語が堪能だったので、英語では勝ち目がないと思ったんです。卒論も美術評論でしたね。“ボードレールの美術評論”。教授が変わった子だって言ってましたけどね。やっぱり絵が忘れられなかったんですね。

反対されたから、今の仕事が成り立っているんだと思うんですよ、きっと。そのまま美大へ行っていたら、今の仕事はやっていなかったかもしれません。本当は仕事にするつもり、全然なかったんですよ。ただ、自分の趣味をもっと磨きたくて、その先にインテリアコーディネーターという資格があった。「大学受験の時にそれだけ勉強してたらねぇ・・・」って母が嘆いたほど、勉強しましたよ。だから一発で合格しましたね。その時期に勉強したくて、バタバタと資格を受けたんですよ。商業施設士の試験のときは、周囲は若い男性ばかりで場違いな感じだったので、帰ろうかなと思ったんですけど、母や主人に電話したら、せっかく行ったなら受けてみたらって言われて、合格しちゃって。


――やはり主婦時代の経験は活きていますか。

 原点でしょうね。ステンドグラスもやりましたし、カーテンも縫ったり、絵を描いたり。現在のお客さんへの仕事にいろいろとアソートしている内容が、私の主婦時代に趣味にしていたことと似たようなものです。だから、「ビフォーアフター」で粘土細工とか作ったんですが、あれも友人や子供たちにいろいろ作ってあげたのが、頭に残っていたからなんですよ。

――「ビフォーアフター」に出演されたきっかけは?

 以前に「テレビチャンピオン」でテレビ出演したことがあったのでその関係だと思いますが、電話が掛かってきたんです。でもその時、まだ番組が始まっていなかったから、どんな番組か分からなかったので、出るつもりなかったんですよ。「リフォームをメインに番組つくりたいんですけど、ご協力を」って言われたので、画面には出ない協力者だと思ったんです。それでOKしたんです。

「テレビチャンピオン」の時も、インテリアコーディネーターの協会にオファーがあって。でも、みんな出たがらないわけ。どんな番組になるか分からないから。結局私が出ることになって、勝とうが負けようがやれることやるしかないと思った。結果勝ったからラッキーでしたよね。

体調を崩して入院したのですが、以前に「ベストタイム」に出たんですよ。その後、病気して死と向き合い、仕事をやめようと思って、ずっとマッサージチェアーに座って病気に関する本ばかり読んでたんですよ。どんどん落ち込み、明日がなくなる気がしました。

“これではいけない!”と思い、手術から半年経って、妹がいるグアムへ2~3週間行きました。体力的にもなんとか持って、楽しめたということで、またTVのオファーを受けたんですよ。ベストタイムの時は、3日間ぐらい半徹夜するんです。健康な人でさえ疲れるのに頑張れたのだから、まだ仕事いけるかなと思って、復帰したんです。だから、「ベストタイム」が仕事復帰させてくれたようなものですね。

 

――実際に、リフォームをしたいというお客さんとは、どんな形で進めて行くのでしょうか?

 やはり、最初から突っ込んだ話はしないですね。お客様から話しかけてこられるよう、フレンドリーにいきますね。でも、そのお客様が希望されているリフォーム内容が、私から見れば辞めた方がいいと思う部分がある場合は、誠意を持って“それはやめた方がいいですよ”とか、“次回にしたほうがいいんじゃないですか”とか伝えます。

今泉なな子ガツガツしたら絶対だめだと思います。仕事とりたいがために強引になるとお客さんも引いちゃうと思います。お客様の立場になって、“もったいない物はもったいないですよ”って平気で言ってあげることが、その後の仕事に繋がっていくんですよ。

不快にならないように気をは遣いますけれど、反対に何でも分かっていないとリフォームは出来ません。どうやって糸をほぐして行くかが、ひとつのポイントかもしれないですね。最初、この夫婦仲いいんだろうなと思うと反対だったり、仲悪そうだなって思うと仲良かったり。分からないですからね。

最初の数回はいいかっこしても、毎回その家に通うと、だんだん習慣が見えてくるんですよ。その時にはじめて、その人の本当の気持ちが探れるようになってくるんです。気を許せるようになって、はじめていろんなことが訊けるんです。だから、たいていリフォーム中盤くらいで、「いやぁ、恥ずかしい話なんですけど、実は・・・」っていうのが必ず出てくるんですよ。それは、実際はリフォームには全然関係ないことなんですよ、でも関係あるんですね、どこかで。それが、「人間の生活=リフォーム」みたいなね。新築のおうちもそうですけどね。人が住む箱っていうのはね、やっぱりそこに住む人間の性格や考え方が反映されると思います。

――今泉さんにとって、仕事へのモチベーションの原点は何ですか?

今泉なな子 まだ仕事にしていない時には、カーテンや小物を作ったりというのは、自分の所有欲だって思っていたんです。自分が持っていたいという。でも違うんですよ。自分がこれとこれを使ってこういう空間を作りたいって思ってるだけで、それが誰か他の人の家でもいいんです。だから、うちの飾り棚って年中、中身が変わってますよ。新しい現場とかで、そこに合うものがあれば、うちの食器棚から持って行くんですよ。自分の所有欲だと思っていたけれど、これを使った空間を作りたい!という感じで。何欲っていうんですかね。いくら高価なものを買ってきても、自分の所になくてもいいの。これが、あの現場で輝いて活きていればそれでいいわけ。この辺で眠っているよりね。

――今泉さん自身のお仕事としては、今後どのような展開をお考えでしょうか?

距離的な問題があって、関東近辺の現場でしかお仕事出来ないんですが、例えば地方へ講演に行ったついでにネットワークを確立して、全国ネットで仕事ができるようになれば面白いと思います。何かトラブルがあっても、私は行けないれけど、信頼できるブレーンがその地域にいてくれれば、安心してその人に行ってもらえるような、ネットワークが出来たらいいなと思います。

――ありがとうございました。

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今泉なな子

今泉なな子

今泉なな子いまいずみななこ

(株)セプト 取締役 チーフデザイナー

1971年、明治学院大学文学部卒業。設計事務所を経て独立。90年インテリアコーディネーター、 キッチンスペシャリスト資格取得。同年、(株)セプト設立、取締役チーフデザイナーに就任。商業施設士・建築施工…

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