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逢坂流・幸せになる投資とキャリア

逢坂ユリ

逢坂ユリ

作家

さまざまな種類の金融商品が登場し、個人レベルでも簡単に購入可能なことも後押しして、
   投資による資産運用がより一層、盛り上がりの様相を見せています。
   逢坂ユリさんに、投資の魅力や特色、逢坂流キャリアアップ術もおうかがいしました。

   [取材日:2007年1月15日]

逢坂ユリ (あいさか ゆり)
作家/資産運用コンサルタント

フランス音楽留学、ニューヨーク大学卒業後、国内メーカー勤務。その後、モルガン・スタンレー・アセット・マネジメントで資金運用・トレーディング部門に所属後、ヘッドハンティングでゴールドマン・サックス証券へ。金融法人向け外国為替カスタマー・ディーラーおよび債券セールスを経験。また、ドイツ証券では事業法人営業部に所属し資金調達から運用までを担当。

2005年春に独立・起業。様々な実績を基に、コンサルティングや講演活動を行なっている。TV、ラジオ、雑誌、WEBなど、各メディアでの取材多数

不動産投資の魅力

― 昨年(2006年)は、投資に関する自著を4冊出版され、資産運用セミナーや講演会に引っ張りだこの逢坂さんですが、不動産投資を始めたきっかけを教えていただけますか?

端的に言うと、家族を養うためです。私はアメリカの大学に留学していたのですが、卒業が決まり、夢だったウォール街の企業からの内定をもらって、あとは働くだけという時に、日本にいる母親から突然『父が倒れた』という連絡が入りました。内定をお断りしてすぐに帰国すると、家計は火の車。売れるものはすべて売り払い、ローンなどはすべて私が清算しましたが、問題は毎月の生活費や医療費をどうやって稼ぐか、ということでした。父だけでなく、祖父も介護が必要な身でしたので母は二人につきっきり。一家の大黒柱は私だけだったのです。

 しかし働こうにも、当時の日本は『超氷河期』と言わるほどの就職難の時代。アメリカの大学を卒業したからといっても就職先はほとんどありませんでした。採用試験を受けまくり、30社くらい落ちた結果、ようやく国内メーカーから内定をもらい働き出しました。ただ、お給料は20万円そこそこで、その半分近くは実家への仕送りに消えてしまう。これはキャリアアップするしかないと考えて、勤めながら外資系企業への転職の下準備を始め、それが叶いました。しかし、外資系企業は終身雇用ではないので、同時にリスクヘッジをする必要がありました。そこで毎月安定した家賃収入が見込める不動産投資を始めたんです。

―家族を長く養うための安定収入を確保されたわけですね。しかし、不動産投資というと、なかなか手を出しにくいイメージがあります。

 私にとっては、フルローン(※)が組める、つまり元手がなくても始められることがポイントでした。それから当時、1997、98年の不動産投資業界は、いわゆる”どん底状態”で、『日本の不動産はダメだ』という悲観論から、多くの投資家が売りに走り、値がどんどん落ちていました。不動産投資は相対取引(※)ですから、交渉次第では値引きも可能です。実際、当時はひと声で500万、1千万円のディスカウントが市場的に当たり前でしたので、買うのには有利な状況だったのも大きかったですね。
(※フルローン=物件購入に必要な全額を100%銀行からの融資で支払うこと)
(※相対取引=取引所を介さず、投資家とディーラーが直接取引をすること)

―外資系金融企業で働きながら、不動産投資も。かなり大変だったのではないですか?

当時は、平均睡眠時間が2、3時間。常に仕事に終われ、精神的にも追われていたうえ、休日は朝から晩まで多くの物件を見て回っていました。やはり、『このままでは子供の産めない体になる』と不安になり、とにかく早く脱出しなければと思っていました。ですから家賃収入が給与を超えたら辞める、というゴールを決めて、あとはできるだけ早くそこへ辿り着くように逆算して、不動産を買い進めていました。

―「元手がなくても買える」ということ以外に、不動産投資の魅力は?

値動きが少ないので、投資家の精神的負担が少ないことだと思います。株のように、一日のうちで何度も価格が上下しないですし、為替のように24時間市場が開いていることでストレスがかかることもない。始める前に、半年、一年でも勉強をして知識の準備をしておけば、普段は別のことをしながら、月に1回預金通帳を記帳するくらいでいいので、時間も気持ちも余裕が持てます。ただ、地震や洪水などの天変地異や、入居者による事件・事故など、リスクもありますが、どんな投資でも、それを言い出したらキリがないですからね。

―不動産投資は男性のものというイメージが強いですが、女性に向いていますか?

 物件を購入することに関して言えば、情報ネットワークの点で男性のほうが優位かもしれませんが、その後の細かい管理やフォローは女性のほうがまめにやっています。とはいえ、私がマメかと言ったら違うのですが(笑)、そんな私でもできています。基本的に、掃除などは管理会社にアウトソースしますから、しょっちゅう気にする必要はありませんが、ここに緑を飾ったほうがいいとか、看板を立てたほうがいいとか、プラスアルファの細かいところに気がつくのは女性のほうが多いですね。実際のところ、最近、不動産投資を始める女性は増えていますよ。

―不動産投資市場の現況は、どうご覧になられていますか?

金利が上がり、物件の値段も上がってきていますので、業界自体は盛り上がっていますよね。ですから、加熱しているところで買うと”高値掴み”になりかねません。短期の金利がもう少し上昇して、いったん市場が落ち着いたところで様子をみて買うほうがいいかもしれないですね。
でも、そうは言いながら、まだまだ歴史的に見ると低金利の水準ですので、都内ではなく郊外の物件を探してみればチャンスあります。私は郊外の物件をよく見ていますよ。

「投資」に必要なこと

―近著の『夢をかなえる投資塾』の中では、不動産投資だけでなく、外貨、株、投資信託、現代アートや金、ダイヤモンドなどを取り上げ、日々研究されている独自の投資ノウハウを紹介されていますが、投資に対するスタンスのようなものはありますか?

『投資はリラックスして楽しまなくちゃ!』というのが私のポリシーです。投資に限らず、仕事も人間関係も、あまり振り回されたくありません。ですから例えば、株の場合、2倍になったらそれ以上の欲を持たずに早めに売る、金なら引き落としで毎月一定額を積み立てるなど、気持ちと時間に余裕が持てることを基準にしています。テクニックやノウハウはもちろん大切ですが、それよりも前に、自分のルールやポリシーを決めることのほうが重要ではないでしょうか。

―リラックスして投資するためには、どうしたらよいのでしょう?

たとえば分散投資ですよね。一方が下がったとしても、一方は大丈夫ですから、相場に振り回されないポジションをとることができます。逆に言えば、損をしているときは、どこか偏っているのだと思います。去年は、多くの個人投資家はそうしたために大損をされたようですが、投資でも仕事でも人間関係でもバランスは重要です。

最近、デイトレード(※)が流行していますが、あれは投資というよりも、『投機』だと思います。特殊な能力が必要になります。私は一日中パソコンの前に張り付いてチャートを見張りながら売買するというのはできないですし、向いておりませんので、もっと中長期で計画を立てて、少々の値下がりではジタバタしない投資の方法をとっています。

(※デイトレード(Day-Trading)…「日計り商い」。同一銘柄を買ったその日のうちに売ったり、空売りをしてその日のうちに買い戻すといった、売買する銘柄の1日の株価の騰落の差益を得る目的で行う株式売買のこと。ネット取引により個人投資家の間で普及した。)

―デイトレーダーと呼ばれる個人投資家が増え、成功と失敗の格差が大きく取り沙汰されるようにもなりました。投資に必要な素養のようなものはありますか?

なによりも、情報に対して貪欲になることです。メディアの情報を鵜呑みにせず、きちんと”セカンドオピニオン”、つまり裏をとること。そのためには、ほんの5分だけでも人より余計に調べることが重要です。周りと同じことを、同じ時間だけしていてもライバルに差はつけられません。投資だけではなく、ビジネスにおいても重要なことではないかと思います。

―”ほんの5分”が積み重なれば、いずれは大きな差が出てくると。

そうです。現在はインターネットで情報がタダで手に入る時代ですが、情報に対してのコストは惜しんではいけません。私は現在、海外へ出張して、成功した投資家や経営者のセミナーに行ってお話をうかがうことを積極的に行なっています。中には参加費が数十万円という講演会もあります。「わざわざ行かなくても、本でも読めばわかることでは」とおっしゃるかもしれませんが、自分の肌で直接感じる”オーラ”が重要だと思いますし、それだけ有益な情報がインプットできます。もちろん、常に見合ったリターンが返ってくるわけではありませんが、もう1歩、自分が成長するための「自己投資」と捉えていますので、今は貪欲に、借金をしてでも(笑)やっていきたいと思っています。

―情報に投資するわけですね。そのほかに必要とされることはありますか?

なんといっても、”タフな精神力”でしょうか。私も今までたくさん損をして痛い思いをしてきましたが、いつも『気にしたら負け』と自分に言い聞かせていました。いちいち気にしていたら、次にいけないですからね。もし失敗したら、淡々とやり続ける。数をこなすしかないです。

―これから「来る」と思う投資商品はありますか?

日本株はそろそろいいのではないでしょうか。現在、1万7千円台(取材日は1月15日)をつけていますが、個人的には1万5千円台に落ちたところでまた入りたいなと思っています。

 それから現代アートはお薦めです。株でいえば新興株やIT株を買う感覚と一緒で、”化ければ”500倍、1000倍のリターンが見込めますが、その代わり「化けない」ものもある。それを見極める自分の「眼」が必要になってきますね。

 海外、特にドイツなどでは、年収が300万円くらいの平均的な家庭は、毎年、数十万円の絵を購入するんです。絵を買うことで、アーティストの才能を育て、アート市場も育つ、それが社会貢献だと捉えています。毎週、家族揃って教会へ行くという宗教的な背景もありますが、日本だって真似できないことじゃないと思います。特に、会社をリタイヤされたご夫婦は、一緒に画廊に行ったり、共通の話題が増えていいのではないかと思います。

―欧米で人気が出て、オークションで作品が2~300倍の値段になった村上隆さんのような例もありますからね。

そう、”第2の村上隆を探せ!”です。日本の現代アートは、クオリティに対して、世界で一番安いのではないかと見られています。長い不景気で、アートまで目が行かず、みんなそっぽを向いていたためです。しかしここ最近、鼻のきく欧米人がいち早く目をつけて買い始めているので、海外の資本が入って値上がりする前に、一般の人が買える値段のときに買っておいたほうがいいと声を大にして言いたいですね。この流れは不動産市場と一緒です。97、8年の不景気から、不動産の値段をここまで上げたきっかけは欧米のファンドですからね。

それにアートは見ているだけで心癒されますし、人間の内面に深みを与えてくれます。いつもと違う思考回路になり、柔軟な発想が出てくるので非常に刺激になります。私も今は国内外のアートをいろいろと見て勉強しているところです。

 

逢坂流・キャリアアップ

―国内メーカーから外資系金融企業へキャリアアップ、さらにはヘッドハンティングもご経験されている逢坂さんですが、今までのキャリア形成のなかで重視されてきたことはありますか?

当たり前のことですが、日々の努力でしょうね。キャリアアップにラッキーはありません。知識と経験はあって当然、それに努力が加わらないと、いまの時代は組織の歯車になっていきます。でも歯車であるうちはまだマシなほうで、特にホワイトカラーは、マンパワーがコンピューターに代わる恐れもあります。私はずっと欧米の企業におりましたので、会社の都合で東京支店がいきなり閉鎖されたり、部署ごと突然なくなったり…という不安や危機感はありました。そんな中、別の会社に移っても生きていくためのスキルがないと路頭に迷ってしまうわけですから、「人間力」をアップさせていきたいと考えていました。

―具体的にどんな努力をされてきたのでしょうか?

金融業界は「Reputation is everything」、評判がすべてです。株や債券は基本的に、どこで買っても同じ質と値段です。それなのに、なぜ私から買うかといったら、サービスが決め手なんです。そのひとつがスピードですね。誰よりも早く情報を届ける、というのは常に心がけていましたが、そのためには”準備”が不可欠です。それは、人よりちょっとだけ早く来る、遅く帰る、人より5分多く勉強する、などですね。

 あとは、人の力を借りて最大限活用することです。金融用語でいうところの”レバレッジ”(※)です。私の場合、いつでもアップデートの情報を聞けるネットワークを社内に作っておきました。でも借りてばかりではなく、自分からも相手に必要な情報をアウトプットすることは徹底していました。ビジネスにしろ、人間関係にしろ、良い関係を続けるには”ギブ・アンド・テイク”は基本ですから、一方的に、『ください』『ください』で通用するほど世の中は甘くありません。


(※レバレッジ=てこ(lever)の作用から転じて、投資において信用取引や金融派生商品などを用いることにより、手持ちの資金よりも多い金額を動かすこと)

―日本のビジネスシーンでは、「自分でなんとかしよう」という意識が強いように感じます

それも決して悪いことではありませんが、日本ではまだそのあたり、遠慮が邪魔してうまくできない方が多いですね。『自分で調べればわかるだろう』と。”遠慮”は日本人の美徳でもありますが、ビジネスで一歩先に出るためには、どんどん人に聞くべきです。新聞やテレビなどメディアの情報は、ほとんどが古い情報ですから、リアルタイムの情報を電話1本で聞けるのなら遠慮する必要はないと思います。

―キャリア形成のお話に戻りますが、現在、自分の理想とのギャップに絶望して仕事のモチベーションを失ってしまったり、すぐにやめてしまう人が増えています

私は、入社2~3年間を”ダッシュの時期”と呼んでいます。丁稚奉公のようなものですね。でも、この期間を乗り越えた人はキャリア形成における基礎体力がついていますから、どんな局面でも強い。私も新人時代は毎日のように怒られて泣いてばかりいましたが、ここで辞めてしまってはもったいないと思い、「気にしたら負け」と常に自分に言い聞かせてなんとか乗り越えることができました。

それと、物事がなかなかうまくいかない時は、小学校の時にやった計算ドリルを思い浮かべてください。最初は1ページを解くのに時間がかかりますが、だんだん慣れてきて、最後のほうにはスラスラと早く解けるようになりましたよね?これは何事も同じです。すべてコツさえつかめば、うまく転がっていきます。コツを掴む途中のところで諦めてしまっては、ドリルのお金も、費やした時間も取り返せない。天才なんてほんの一握り。私も含め、みんな最初からうまくできないのは当然です。ただ、そこで違いができるのは、それこそ微差・僅差の努力じゃないでしょうか。

―シンプルな言葉でも、逢坂さんから語られると相当の説得力があります。
それでは最後に、今後の展望を教えて頂けますか?

私自身がすごく辛いときに、何千冊と本を読み、元気付けられ、助けられた経験があります。ですから今度は私が社会に対してアウトプットしていきたいと思っています。本を書いたり、講演会などでお話ししたり、より多くの人々に対して元気を発信していきたいですね。

それから、もっと日本の女性をアゲアゲにしたいです(笑)。私は世界各国のさまざまな女性たちを見てきましたが、日本女性は世界レベルと比較しても本当に優秀です。それなのに、世界を舞台に活躍するような人が他国と比べて輩出されにくい現状にあります。その弊害は何かというと、ただ単にビジネスや投資の世界を『知らないだけ』なんです。ですから私の経験を通じて、多くの日本女性に広い世界を知って頂きたい。日本から”世界のスーパーウーマン”が生まれることを願っています。

―逢坂さん自身もスーパーウーマンに…

もちろん!目指していますよ。

本日は貴重なお時間の中、どうもありがとうございました。

文:上原深音 / 写真:鈴木ちづる  (2007年2月1日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)  

逢坂ユリ

逢坂ユリ

逢坂ユリあいさかゆり

作家

ニューヨーク大学卒業。モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント資金運用・トレーディング部門に所属後、ヘッドハンティングでゴールドマン・サックス証券で金融法人向け外国為替カスタマー・ディーラーおよび…

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