講演依頼.com営業部の富永です。
「話題のビジネス本」第三回目は、2018年2月20日(火)に出版された精神科医である名越康文さん著『生きるのがふっと楽になる13のことば』についてご紹介します。
精神科医というお仕事だけではなく、テレビやラジオのコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中の名越さんの新刊ということもあり、早速手にとって読んでみました。これまでにも様々な書籍を出版されてきましたが、本書では夏目漱石や森鴎外、シェイクスピア、マキアヴェッリといった歴史上の偉人が遺した「人間や世界の本質をズバリと言い表した珠玉の名言たち」を名越さんの視点から、現代風に分かりやすく解説されています。
タイトル通り全部で13のことばを解説されているのですが、その中でも私の印象に残った1つを紹介します。
「われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、最も偉大なことも完成できるほど豊富に与えられている。」(古代ローマの哲学者・政治家、セネカの『道徳論集』より)
「時間を大切にしよう」とは頭では考えていても実践するのは難しいものです。特に社会人になると、一般的に朝早く起きて会社に行き、夕方~夜遅くまで週5日間は仕事を中心とする生活になります。目的意識を持たずに自宅と会社の往復という生活をなんとなく過ごしていると、あっという間に時間が過ぎていってしまいます。
ただ、どんなに忙しくても「余白の時間」は少なからずあるはずです。その「余白の時間」を“自分のために”有効活用することが大切であると名越さんは語ります。ありふれた1日の中で、パッと仕事を切り上げて1時間でも2時間でも良いから自分のために使う時間を確保する。その時間でじっくり本を読んだり、映画を観たり、好きな音楽に浸ってみる。そして継続する。
何も考えずに日々を過ごしている人と、1時間でも2時間でも自分のために充実した時間を持つように意識している人とでは、100日程度では差が出ないかもしれませんが、人生という長いスパンで考えると取り返しのつかない差がついてしまうのではないでしょうか。もしかしたら“偉大なこと”を成し遂げることができるかもしれません。
近年、政府や各企業でも「働き方改革」が大きな注目を集めています。もちろん法律面や企業内の制度を整備することも欠かせませんが、1日24時間という人間に平等に与えられた時間の中で、どれぐらい自分に裁量が与えられているのか、その内どれぐらいを自分で主体的に使うことができているのか。改めて自分自身に問いかけてみることが人生をより豊かにしていくためには必要なのだと痛感しました。
今回は時間の使い方に焦点を当てましたが、名越さんの講演では、ストレスや怒り・嫉妬といったメンタル面のコントロール方法や、対人関係を良くするコミュニケーションの取り方を人間の性格パターンごとに紹介するなど、様々なテーマでお話し頂けます。精神科医として培った知識で悩みの根本に迫り、ヒントや改善策まで教えて頂けるため、多くの悩みを抱える現代人にお薦めです。
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