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山本一力著『ジョン・マン 波濤編』(講談社)

講演依頼.com営業部の江本です。

「話題のビジネス本」第四回目は、山本一力さん著『ジョン・マン』をご紹介します。『ジョン・マン』は、講談社「小説現代」で連載のものが単行本化され、現在は第6巻(順風編)まで手に取ることができます。

山本一力著『ジョン・マン』波濤編

この作品の始まりは、中浜万次郎(ジョン万次郎)が12歳の頃です。私が今読み進めているところは、まだ万次郎が16歳前後で、既にこの10代での彼の生き方や考え方、そして作品全体に引き込まれてしまいました。

日本が鎖国を行っていた時代、貧しい家庭に生まれた万次郎が、大好きな母や妹たちと離れ、家族のために働き、後に仲間と漁に出かけたところに遭難。無人島での生活を経て、アメリカの捕鯨船になんとか助けられる。でも、鎖国中の日本には簡単に帰ることができない。少年万次郎には、苦しく過酷な現実が立ちはだかっていました。

しかし、このような環境下にも関わらず、救助されたアメリカの捕鯨船上で漁仲間5人の中で最年少でありながら、英語が分からなくとも、率先して異国の船乗りたちと交流を深め、漁仲間と水夫、船長との間で欠かせないコミュニケーションで重要な立場になっていきます。

後に、捕鯨船にとって重宝される視力が非常に良いことを認められますが、身体的特徴だけが仕事上に有利だった訳ではありません。万次郎の礼儀正しさ、好奇心旺盛な姿や、ひたむき且つ前向きに仕事を取り組み、自身の使命を全うする姿が、自然と周囲からの信頼や親しみを得たのではと感じます。帰国資金を稼ぐために、漁仲間と一人離れることになった万次郎の周りにも、彼の味方、仲間になっている人たちで溢れています。

最近、あるビジネス誌の部下にしたい偉人ランキングで、ジョン万次郎が1位になっているのを見つけました。開国の影の功労者として、グローバルに活躍したことが人気のようでした。この他にも、自分でまず見て試して、分からないことは聞き、体験して理解し学びを深めていくというように、万次郎が幼少期から持ち合わせていた何事にも興味関心を持ち、諦めないことこそ、仕事をする上で大切なのではと感じました。

当時の船乗りは、船長を筆頭にピラミッド型の組織で、現在のビジネスシーンと必ずしも比較、全てを参考にするのは難しい世界かもしれません。しかし仲間と一緒に目標を成し遂げること、組織の中での個の役割を担い、力を発揮することなど、様々な体験を万次郎はしたのだろうと想像します。

今回、時代小説を通じて、ビジネス書に求めがちだった答えやスキルではない別の角度から、仕事に対しての考えを巡らせる面白さを知った気がします。

著者山本一力さんは高知県ご出身だそうで、万次郎の郷里である土佐の情景や、万次郎が意気込む時に自然と出る土佐弁も、作品の魅力だと思います。当時のアメリカと土佐の様子を対比できることも面白いです。
また、漁に出てから帰りがない万次郎達を待つ網元や、万次郎の魅力、人間力をいち早く理解した船長の、いわゆる上司としての在り方、部下との関わり方、覚悟などを感じることも多くあり、この作品の楽しみ方は様々かと感じています。

4月から初めて仕事に取り組む新入社員の皆さん、新しい場所でスタートをきる方々にも、お薦めしたい作品です。私も続編を心待ちにしています。

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