講演依頼.com営業部の土橋です。
「話題のビジネス本」第十二回目は、成毛眞さん著『amazon 世界最先端、最高の戦略』をご紹介します。
元マイクロソフト社長の成毛氏によるこの本はAmazonだけにフォーカスしたもの。
Amazonといえば、ネットで買ってすぐ届く便利なものという程度のイメージしかありませんでしたが、Amazonの多岐にわたるビジネスを徹底的にリサーチされ一冊にまとまっています。
またAmazonは創業者のジェフベソスもほとんどメディアにも露出しない秘密主義であるようです。そこに本のキュレーター集団のHONZ代表として相当の目利きの持ち主である成毛氏が切り込んでいるからこそ大変わかりやすく読み応えのある内容でした。
GAFA+M(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)と呼ばれるビッグ5の中でも、飛び抜けた成長性を持っていると解説されています。
そう言われる理由は、事業範囲の広さ。ネットで本やCD、ビデオの販売はもちろん、クラウドサービスとしてAWSを外販したり、無人店舗のアマゾンゴーを開店したり…
Amazonは何を目指しているのでしょうか?
創業当初から地球上のあらゆる商品を扱うエブリシングズストアを掲げ、あらゆるものを地球上でどこよりも大量に、安く売ることを大切にしています。シンプルですが、それを徹底し、立ち上げる事業に関しては赤字覚悟で多額の投資を惜しみなくし長期的に成功させる方針です。
上記の一例として、日本で言えば、楽天とAmazonの仕組みの違いからも分かります。楽天市場の場合、インターネット上に構築された仮想商店街で、出店企業からの手数料を中心に稼ぐやり方で、企業をお客さんとして扱っています。
一方Amazonは、基本的に自社で仕入れた商品を販売しています。自分で在庫を持ち、流通を管理している。つまりお客さんは、そのままAmazonでものを買う消費者。楽天のビジネスモデルは場所貸しのみなので、時間もお金もかけずに出店料を手軽に増やすことができ、在庫を持つ必要がないのでリスクも少ない。だから初期は楽天の方が急拡大していました。
しかし、今となってはAmazonの方が状況は良くなっています。いったん物流網を整えたあとは安く大量に仕入れができるなどのメリットが大きく、結果お客様により安い値段で提供ができます。
楽天の方は出店業者がバラバラなので仕入れ値をコントロールすることができません。短期的に考えれば楽天の方に分があるが、長期的にはAmazonが逆転することになります。
物流網を作るには多額な投資が必要で一朝一夕に構築することが困難ですが、「あらゆるものを地球上でどこよりも大量に、安く売る」ために巨額の投資をし、その理念を全うしています。赤字覚悟でそれを出来る理由は「キャッシュフロー経営」が肝になるのですが、その中身はぜひ本で。
他にも印象的だったことはAmazonの組織について。
創業者のジェフベソスの組織感は、「コミュニケーションを必要とする組織は、きちんと機能していない証拠」でしかなく、「協調は必要とせず、個のアイデアが優先される組織」であるべきだということ。
権力が分散され、組織としてのまとまりがないことを理想としています。一般常識から逸脱した思想が、地球規模の巨大組織Amazonの強みでもあるということがわかります。上記はごく一部の紹介ですが、この本で世界最先端の戦略を学ぶことができます。
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