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中原淳著『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? 』(光文社)

講演依頼.com営業部の加藤です。

「話題のビジネス本」第十五回目は、中原淳さん著『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? 』をご紹介します。

中原淳著『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? 』(光文社)

著者の中原淳さんは立教大学経営学部教授であり、「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発などの人事領域を専門とした研究をされています。

“ただの「達成感」を「成長実感」にすり替えるな”という鋭い言葉にハッとさせられます。

残業は確かに良くないかもしれない、けれど一度は歯を食いしばって頑張る時期が成長には必要なんじゃない?という人もいるだろう。しかし著者の中原さんは「残業成長神話」と名付けその意見を否定しています。成長に必要なのは経験だけでなく、自己の振り返り・他者のフィードバックが必要です。しかし残業は「経験」しか得られないうえ、その二つの時間を作ることができず、むしろ成長を阻害する要因になっているというのです。

そして更に残業は「集中」し「感染」、さらに「遺伝」するといいます。最初に残業は仕事のできる人に「集中」します。どことなくイメージでは仕事のできる人はパパッと効率的に仕事を終わらせ、残業せずに帰宅するような気がしますが、実際のところ上司はできる人に更に仕事を与えてしまう傾向があるそうです。

そして残業する人が多い職場では「感染」が起きます。周りの人が働いていると帰りづらい雰囲気があり、どことなく明文化されていないルールが蔓延している組織も少なくないのではないでしょうか。

さらに最後の「遺伝」とは、初期キャリア期に残業した経験がある上司の下で働く部下は残業時間が長くなる傾向が生まれることです。この残業遺伝によって再び「集中」と「感染」を引き起こし、悪循環が生まれてしまいます。

残業に対する考え方はそれぞれで「そうは言っても必要なことだ」「仕事ができない人のすることだ」など様々な価値観があるでしょう。私自身も漠然と残業は良くないが仕方ないことだと考えていました。しかし本書を読んで世間一般で叫ばれている問題だけでなく、先ほどの「集中・感染・遺伝」といった目には見えない空気を把握し、むやみやたらと形骸化された長時間労働是正対策は本当に必要であるのか見直すべきではないか、と気づきを得られました。

中原さんの残業学では、大規模調査によるデータに基づいた根拠と、4人のそれぞれ異なった立場の登場人物と一緒に進める講義形式の形となっており、複雑な残業問題をわかりやすく紐解いています。

さらに「フェイク残業」「残業インフルエンサー」といった目を引く言葉が出てくるところも印象的で、新入社員から管理職など様々な立場の方に手に取ってほしい一冊です。

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