講演依頼.com営業部の富永です。
「話題のビジネス本」第十九回目は、山口揚平さん著『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』をご紹介します。
山口揚平さんは1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、30歳で独立・起業。専門は貨幣論・情報化社会論ですが、現在はコンサルティング会社をはじめ複数の事業・会社を運営する傍ら、執筆・講演活動を行うなど「コンサルタント・思想家・投資家・作家・企業家」といった様々な顔を持ち、ご活躍されております。
本書は「考える」ということを新しく定義し直し、それを伝えることを目的に大きく分けて3つの章から構成されています。
第1章 「思考力はAIを凌ぐ武器になる」
第2章 「短時間で成果を出す思考の技法」
第3章 「2020年から先の世界を生き抜く方法を考える」
第1章、第2章では、昨今のAIやロボットの隆盛、または仕事の生産性を高めようとする背景から、人間に与えられた最後の武器である「考える」力を養うために、「考えるとはどういうことか」、「どのように考えれば良いのか」について書かれています。
インターネットが普及し、子供から大人まで誰もがスマートフォンを持ち歩くようになった現代では、知りたい情報を検索すれば何でも簡単に手に入れることができるようになりました。「解を問う」のが20世紀の教育だったならば、「問いを問う」のが21世紀の教育となり、「頭が良い人」の定義も高学歴や知識が豊富の人ではなく、「つながりや本質を見出す力」や「物事をイメージする力」、「人に何でも聞ける愛嬌力」などを持っている人へと変化しています。
こう考えると現代の日本で最も賢いのは大学教授や政治家、官僚、大企業の役員やベンチャー企業家ではなく、「お笑い芸人」であると山口さんはいいます。代表格のビートたけしさんはもちろんのこと、又吉直樹さんや劇団ひとりさん、バカリズムさんなど様々な芸人が漫才・コント・MC・脚本・物語作家・映画監督・役者を器用にこなしています。芸人の多くは学歴を重視していませんが、知識や情報を組み合わせて本質を見出し、物語として人に伝え、「笑ってもらう(受け入れてもらう)」という思考を常に行っているのです。こうした「ストーリーテリング力」も今後は身に着けるべきスキルの1つになってきます。
そう遠くない未来では、タイトルにあるようにほとんどの人々が本当に1日3時間、人によってはもっと短い時間だけ働いておだやかに暮らせる日がくるかもしれません。そのような時代に向けて必要な「思考法」を学ぶことができ、かつ第3章ではいよいよ来年に控える東京オリンピック以後の日本や世界の動向についても山口さんの予想が語られており、「お金の価値の変化」や「仕事は労働から“貢献”へ」など勉強になる内容で最後まで楽しみながら読むことができました。
新しい知識や考え方に出会えるだけでなく、読むプロセスを通じて読者の意識を様々な方向に誘ってくれるおすすめの一冊です。
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