講演依頼.com営業部の富永です。
「話題のビジネス本」第二十九回目は、安宅和人さん著『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』 (NewsPicksパブリッシング)をご紹介します。
安宅さんは「ヤフー株式会社CSO(チーフストラテジーオフィサー)」、「慶応義塾大学 環境情報学部教授」、「データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長」といった肩書を持つだけでなく、マッキンゼーで働いていた経験や米国・イェール大学脳神経科学プログラムの学位取得(Ph.D.)、内閣府 総合科学技術イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会 委員、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会 副座長を務めるなど、幅広い分野でご活躍されております。
本書を極めて簡単にまとめると「AI×データ」を大きな軸として、
・データ×AIによってもたらされるものや可能性
・世界各国と比較した日本の現状および今後日本が進むべき道筋
・それを実現するための人材はどのような人材なのか、その人材の育成方法
・人材育成を可能にするためのリソース配分
・未来に残すべきものは何か
上記などについて記されているのですが、各章での情報量が桁違いであり、豊富なデータ・資料を用いて細かく分析されていて非常に読み応えがあります。難しい内容や初めて知るような話も多くありましたが、自分がいかに勉強不足で社会の流れや日本の現状を知らなかったのかを改めて痛感させられました。
その中で特に印象に残っているのは、これからは「異人」こそが未来を作る鍵となる人材だということ。これまではとにかく誰もが目指す領域で競争に強い人が大切であり、専門家がとても大切だったが、今後はあまり多くの人が目指さない領域あるいはアイデアで何かを仕掛ける人が圧倒的に重要になってきます。「こういう世界が欲しい」、「イヤなものはイヤ」と言える人たちであり、夢(ビジョン)を描き複数の領域を繋いで形にしていく力を持っている人が遥かに大切になるのです。
当然、「異人」は数としては非常に少ないため、異人が大切であると思う社会でなければ異物として排除されるか、秩序を乱す人として煙たがられ、潰されてしまいます。彼らが生き延びることのできる空間を作ることが必要であり、そのためには初等・中等教育で当たり前のように行われている「起立」「気をつけ」「前ならえ」「休め」といった軍事教練の名残や厳しい校則、決まりごとの廃止から行うべきであり、そこから“シン・ニホン”は始まると安宅さんは述べています。
その他にも「これからの時代、具体的に何を学べば良いのか」といった教育についてや、「これまでのペースややり方で人間が生活を営んでいけば、地球がもたないのは明らか」といった環境問題についてなど、幅広く述べられております。
約450ページと書籍自体も分厚いため手に取るのに勇気がいるかもしれませんが、学生から社会人、既にリタイアされた人まで全ての人に手に取って読んでみてほしい一冊です。
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