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『 がん(癌)の体験者の声 』、第6回目は企業人として最前線にいた43歳の時、生存率の低い悪性肺がんに発病し、手術と抗ガン剤治療で乗り越えた樋口強さん。
もし、下記の3つに少しでも当てはまる方でしたら、ぜひ読んでみて下さい。
- ☑ 今、がん(癌)と向き合っている方
- ☑ 周りに、がんと向き合っている方がおられる方
- ☑ 今を生きるためのヒントを探されている方
樋口強さんは、肺がんであることを告知されました。
この経験で何を感じられたのか?貴重なインタビューをお届けします。
どういったきっかけで、がんが発覚したのか、状況の詳細を教えてください。
1996年1月、毎年受診していた人間ドックで直接撮影したレントゲン写真の右胸にこぶし大の大きな白い塊がありました。左に置かれた昨年の写真には何の影もありません。
「樋口さん、この写真を持ってすぐに大学病院を受診してください」
医師の慌てた様子を見て、これは“普通の異常ではない”と感じました。大学病院で2週間の検査入院のあと、妻と二人で検査結果を聞きました。
「肺がんです。リンパ節にも転移しています。組織診断の結果、小細胞がんです。これは少し厄介ながんです」
そして、医師はこう付け加えました。
「3年生存率は5%、5年生存率は数字がないんです」
43歳。働き盛りでのがんとの出会いでした。手術と長期に亘る強い抗がん剤治療で1年ほどの入院が続きました。治療の後遺症として、全身の感覚神経マヒや大きな腎機能障害、てんかん、緑内障など、いのちに直結するたくさんの日常の不都合を今でも抱えていますが、そのことによって、普通のことが普通にできるありがたさを実感しています。
励まされた言葉や、人との出会いなどあれば教えてください。
“働き盛りのがん”が増えています。今、年間に約百万人ががんと診断されて告知されています。そのうちの3割は現役世代です。この現役世代のがんには3つの不安がのしかかってきます。
1.がん克服に向けての再発や転移の不安だけでなく、
2.治療費負担や休職での収入減による家族の生活費への不安に加えて、
3.職場へ戻れるだろうかという就労の不安
です。
私は、がん治療での入院と職場復帰に向けた後遺症のリハビリでの療養期間を合わせて約1年間休職しました。その間の励みになったのが上司の言葉でした。
「君の席は空けて待ってるよ」
自分を必要としてくれる場所がある。働くことで社会との接点がある。この上司の一言がつらいリハビリを乗り越えて職場復帰する応援団長になってくれました。
今現在、どうがんと向き合ってお過ごしされているか教えてください。
入院中、真夜中の真っ暗な病室で夢うつつのうちに、自分の高座姿が脳裏に浮かびました。うまい、自分の落語を初めて客席で聴いたのです。いつの間にか笑っていました。抗がん剤治療の副作用で神経がいら立っていたときでした。ふと、我に戻ってみると頭も体も気持ちもすっきりして肩の力も抜けて楽になっていました。
“笑いは最高の抗がん剤”
この言葉が浮かんだ瞬間でした。
道が歩ける、朝の満員電車に乗れる、仕事がある、「行ってきます」「気をつけて」、「ただいま」「お疲れさま」と、毎日家族と言葉を交わせる。この誰もがしている普通のことが普通にできるってことが、どんなにうれしいことか、どんなに幸せなことか。がんという病気を通して手に入れた私の大切な宝物です。
現在は、生きる希望と勇気を伝える著作活動と、それを笑いの載せて伝える「いのちの落語講演」を全国で開催しています。また、がんの人と家族だけを招待して1年に一度開催する「いのちの落語独演会」が2019年で19年目に入りました。
現在がんと闘病している人に向けて一言お願いします
がんに出会って「生きたい」という気持ちがなお一層強くなります。それでは自分は「生きて何がしたいのか」と、問い詰めてみると、二つ目のいのちの方向が見えてきます。自分の生き方は自分が決める。これに気づくと、見える世界が変わります。治療法や病院選びは自然とあとからついてきます。
生きるはずがないというがんに出会って23年、今振り返って、あとから続く人たちに一つだけ伝えてください、と言われれば、それはこれです。
『どんなにつらいことがあっても、どんなに苦しいときでも、朝から晩まで一日中笑っていたら、きっと病気にはならない』
ということです。あっ、でもこれ、病気だと思われますけど・・・。
樋口強のメッセージがギュッと詰まった最新著書に、『がんでも働きたい』(佼成出版社)があります。あなたの町の「いのちの落語講演会」で一緒に思いっきり笑いましょう。
弊社には、がんと向き合う講演の特集ページもございます。
「がん(癌)」をテーマにした講演の講師をお探しの方は合わせてご参照ください。
樋口強ひぐちつよし
いのちの落語家
企業人として最前線にいた43歳の時、生存率の低い悪性肺がんに発病し、手術と抗ガン剤治療で乗り越える。2004年退職、抗がん剤の後遺症と闘いながら、「いのちの大切さ」「家族への愛」「生き方は自分が決める…
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