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『夢をつなぐ 宇宙飛行士・山崎直子の四〇八八日』 ー山崎直子氏ー

思春期真っ只中の悩める中学生・高校生に、そして、その保護者の方、また、教育関係者に向けて、「講演会のプロが選ぶ!中学生・高校生にすすめたい本」をご紹介いたします。

第一回は、山崎直子氏著『夢をつなぐ 宇宙飛行士・山崎直子の四〇八八日』 (角川文庫)です。

夢をつなぐ(山崎直子)

中学生・高校生にすすめたいポイント

「夢」を諦めない

「宇宙飛行士」という言葉すら知らない、ただ宇宙に憧れを抱く普通の女の子だった山崎さん。彼女が「宇宙飛行士」になれたのは、「教育熱心な親に育てられたエリート」だからと世間では思われていますが、実は、夢をかなえるための道は、順風満帆なものではありませんでした。

彼女の親は、娘の留学や進学に「反対」することが多く、彼女の夢を手放しで応援してはくれませんでした。しかし、そのたびに彼女は折れることなく、説得工作をして自分の「やりたいこと」を絶対に諦めませんでした。

「夢」を叶える努力と覚悟

宇宙飛行士にむけた訓練では、血のにじむような努力を重ねました。宇宙で活動するために、宇宙飛行士は、ISS(国際宇宙ステーション)に何か月間も国籍も性格もバラバラなメンバーと同じ空間で過ごします。また、さらに、地球からは常に監視されており、「プライベート」な時間はありません。そのような厳しい環境でも耐えられるよう「協調性・強靭な精神力・ストレス耐性」が宇宙飛行士には求められます。

山崎さんは、そのような状況下でも耐えうるよう、常に周囲から貪欲に学び、今の自分に何が必要か考え、ピンチをチャンスに変えていきました。そして、故郷を離れての訓練や、仕事と家庭との両立に悩み、絶望的な時にも、毛利宇宙飛行士をはじめとした先人たちの苦労を思い返し、自分を奮い立たせてきました。

人は、多くの人に支えられて生きている

厳しい訓練を乗り越え、宇宙飛行士として宇宙へ飛び立ち、任務を負え無事に帰還した際に山崎さんが、噛み締めたのは、「家族・周囲への感謝」でした。

山崎さんは、日本のマスコミから「ママさん宇宙飛行士」とあだ名を付けられていましたが、宇宙飛行士としての訓練が忙しく、育児をはじめ、家庭のことは、夫が全て行ってくれていました。彼女が「ママ」であり続けられたのは、夫を中心に多くの人に支えられていたからでした。

講演会のプロから伝えたいこと

中学生・高校生くらいになると、家庭の事情や自信の無さから、小さな頃に抱いていた「夢」は叶わないとあきらめてしまう人たちは多いのではないでしょうか。また、他人と違う自分を他と同調させようとする意識が働き、「大きな夢」をもたない人たちもいるかもしれません。そもそも「夢」自体もたない人もいるかもしれません。

山崎直子さんも、少女時代、無理だと思われながらも、みなさん達と同じように、壁にぶつかりながら、悩み苦しみ、努力を続け、世界へ目を向けた結果、夢をかなえました。そんな山崎さんの姿は、さまざまな事情で夢を諦めかけている皆さんの背中をおしてくれるでしょう。そして、夢を叶えるためには、「覚悟」が必要となることも教えてくれます。

また、思春期を迎えるみなさんの中には、家族や友人にも甘えられずひとりで頑張っている人がいるかもしれません。また、高校受験、大学受験、あるいは、部活で思うような結果が出せず、いらいらし、ひとりでもがいている人達もいるかもしれません。

「スーパーウーマン」のような山崎さんでさえ、多くの人に支えられ、自分の夢をそして先人達の夢をつなぐため、家族や周囲に甘え、協力を得、夢を叶えました。

ひとりで頑張ることも大切ですが、ひとりよりも多くの人と一緒にがんばり、時に競い、時に甘え、時に励まし合いながら進んでいくと、そこには、夢が夢ではなくなっている瞬間があるかもしれません。

ぜひ、皆さんには、この本をきっかけに、さまざまな事情で諦めかけている「夢」にもう一度チャレンジしてみてほしいと思います。

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