悩み多き青春時代を送る中高生に向けて、先輩たちからのメッセージを伝える本コンテンツ。
第5回は、4年3カ月という異例の有給休暇を取得して単独自転車世界一周で5万5千キロを走破。冒険の著作物の印税でアフリカに井戸や診療所の建設、ブータンに幼稚園を設立するなど、社会貢献活動も行うサラリーマン冒険家坂本達さんからのメッセージです。
学生時代の坂本さんの夢とは
初日、前の学校で「かっこいい」と言われていたお気に入りのバミューダパンツをはいて登校すると、「なんだ、そのズボン。かっこ悪い」と言われたのです。
それがきっかけとなり、仲間外れから始まって、いわゆるいじめのようなものを経験しました。学校での毎日がとてもつまらなくなりました。
親が心配すると思い、学校でのことを言い出せずにいました。けれどもある日、たまりかねた私は思い切って父に話したのです。
私の話を聞き終えると父は、
「達、今はつらいと思う。だけど、今の学校が世の中すべてじゃない。世界はもっと広くて、いろんな人がいる。文化も考え方も違う。だから、今がつらくても一生続くんじゃない。諦めちゃいけない」
と言ってくれたのです。一生仲間外れの人生を送るのだと思っていた私にとって、父の言葉は救いでした。
その話を聞いてから私は世界に目を向けるようになり、「世界中の人に会ってみたい」「どんなことを考えて、どんな生活をしているか知りたい」と思いは膨らんでいき、少しずつ夢が形づくられていったのです。
そんな父親は商社マンだったので、自分も同じように海外で働くイメージをしていました。
学生時代に乗り越えた壁とは
大学の交換留学制度に受からなかったのですが、何とか実現させようと親戚から借金をして自費でアメリカのミネソタ州に留学しました。
英語を満足に操れなかったので授業についていくことができず、コミュニケーションもうまく取れなかったので、自分で選んだ道にも関わらず壁にぶつかりました。
英語も完ぺきに喋ろうとすることを諦めたり、授業での単位取得を諦めたり、自分を見つめなおすところから再スタートさせました。
そうすることにより仲の良い友達ができたり、好きなスポーツを通じてたくさんコミュニケーションをとれるようになり、少しずつ自信もついてきました。
留学自体、当初の自分が納得するような結果は出ませんでしたが、帰国してからもその悔しさをバネに、語学の習得やコミュニケーションに励みました。
自分の無力さが情けなかったですが、振り返るととても貴重な経験でしたし、その失敗からの学びがあって今の自分があると確信しています。
今に活きている学生時代の経験とは
これはこれからますます国際化、多様化する社会で本当に貴重な財産となっています。
学生へのメッセージ
学生時代にとにかくたくさんの経験、それも成功体験だけでなく、失敗したり、恥をかいたり、嫌な汗をかいたり、落ち込んだり、悩んだりする経験をしてもらいたいと思います。
社会でどれだけの人が苦労して今の社会を築いてきたかを知り感謝することにつながりますし、そういった経験から自分が何をやりたいのか、自分の夢や目標は何なのかを知ることができるからです。
私は企業の新卒採用担当を長年やっていましたが、自分が何をやりたいのかわからない、自分で就職先や仕事を決められない学生をたくさん見てきました。経験が少ないと自分で選ぶ基準がわからず決断ができず、誰かに決めてもらうことになり、結果として自分が納得しない人生を歩むことにつながると思います。
嫌な経験を含めて、経験はすべてその後の財産になります。嫌な思いをするのは誰でも避けたいところですが、近年弊社に入社してくる新入社員の半分はアジアを中心とした留学生です。
日本語で勉強をしていますから、母国語以外に日本語と英語を操り、それこそたくさんの挫折を含めた経験を持つ人材です。
皆さんも考えすぎずにやってみる。
やりたいことがわからなければ、やってみたい・気になるものすべてに手を付けてやってみる。
憧れる人の真似をしてみる。
そんなところからやりたいことや夢、目標に近づくと思います。
今、世界はコロナ一色ですが、アフターコロナの世界を既成概念にとらわれない、皆さんの若い感性で形作っていっていただきたいと思います!
坂本達さかもとたつ
株式会社ミキハウス サラリーマン冒険家
入社以来、勤務先の社長を説得し、4年3カ月という異例の有給休暇を取得して単独自転車世界一周で5万5千キロ走破。 帰国後は著作物の印税でアフリカに井戸や診療所の建設、ブータンに幼稚園を設立。新卒採用の…
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