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人生最大の危機を教えてください。
人生最大の危機は、競泳の現役選手だった19歳の時です。
すごく練習はしていましたが、今思えば、それまでなんとなくやっていた。
頑張っていたと言っても、人に与えられた場所で人に用意された内容をこなしていた。
その結果だったと思います。
アテネオリンピック落選が、人生で初めてで最大の危機 でした。
その時のお気持ちを教えてください。
「自分には、何にもなくなった。」
落選した絶望もありましたが、そのときはまだ大切なことに気がついていなかったのです。
その後、何か気づいたことはありましたか?
それまで、学校に通うのも難しいくらい、すべての時間を競泳に注いできたと自負していました。学校の先生方にはサポートを頂いていた。体のケアもしっかりしていた。自分にできることは最大限やっていたつもりでした。
なので、オリンピック落選は、昼夜問わず見てくれたコーチ、スタッフ、所属企業、トレーナー、学校の先生、・・・身近にいた人達への、ある意味、裏切りだと感じていました。
チームで一丸となって頑張っていたはずなのに、
「自分は一人で頑張っている」
そう思ってしまっている自分がいたのです。
まさに『心』が足りなかったと思っています。『心』とは、『信念』です。
危機とどのように向き合い、乗り越えたのですか?
本当の意味で頑張れていなかった自分に、すぐ気が付きました。
しばらくは泳げない時期もありましたが
自分にはまだ命があって、頑張れる年齢だったので
「結果で返したい!」そう思えるようになりました。
そのとき、本気で、心から頑張りたいと思えたのです。
この経験があったから、悔しい気持ちを表現できるようになりました。
自分のために、しっかり未来に向かうことができるようになりました。
家族や、周囲の仲間に本当に助けられ、今でも感謝しています。
最大の危機に直面したご経験から、どのようなことが得られましたか?
「一人で頑張っているのではないんだ」ということを知り、
「自分も社会の一部であり、自分は何ができるのか」という視点で頑張れるようになりました。
能動的に動くことで、とても結果にコミットしていくことができると思ったのです。
「どうせやるなら、やる気を持ってやりたい」という気持ちをもつことで、
仲間を大切にする気持ちも生まれました。
オンとオフもしっかり持てるようになりました。
それからは、水泳をやっているときはずっと水泳のことを考えましたし、オフの日は全然違うことを考えるようになりました。
切り替えがうまくできると心にも余裕がうまれます。
最後に、人生の危機に直面している人へ向けてアドバイスをお願いします。
あなたにとって、今は危機かもしれません。
失敗はチャレンジしている人だけにしか訪れません。
なので、上手くいっているだけ、気分がいいだけもつまらないと思います。
かなしい気持ちになったり、つらい気持ちになったりそれも楽しいです。
そこに深さが生まれます。
謙虚に向き合ってみると、意外と自分の気づきにつながりますよ!
誰かの為の人生ではなく、自分の人生です。
あとはBetter in Time!
伊藤華英いとうはなえ
競泳オリンピアン(北京/ロンドン五輪 水泳女子日本代表)
べビースイミングから、水泳を始め、15歳で日本選手権に初出場。女子背泳ぎ選手として注目される。2008年日本選手権女子100m背泳ぎで日本記録を樹立。初めてオリンピック代表選手となる。その後、怪我によ…
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