目次
人生最大の危機を教えてください。
肝硬変とうつ病を患った妻が、3回目の自殺を試みたとき。
その時の状況や危機が発生した原因を教えてください。
私たち夫婦には手のかかる自閉症の長男がおり小さいころから家内にとっては大きな負担だった。その上、家内自身も肝硬変のため入退院を繰り返し、自分が家事も障害の子の面倒もできないという負い目なども重なり自分を責めうつ病となり、自殺を考えるようになった。
危機とどのように向き合い、乗り越えたのですか?
最初と2度目の自殺未遂はためらい傷だったが、3度目の自殺未遂は自分の手首などを深く切り相当な出血であった。午後3時から始まった手術は7時間も要した。私はその間、「なんでこんなに苦労しなければならないのか」と自分の人生を恨み沈痛な気持ちで手術室の前でただ待っていた。夜10時半にストレッチャーに乗って手術室から出てきた妻が最初に「ごめんなお父さん、迷惑ばかりかけて」と心底情けなさそうに言った。絶望の淵にいた私はその言葉でハッとした。「目の前に自分を責め私の何倍も苦しんでいる人がいる。その結果自分の命まで絶とうとした。彼女が悪いわけではない。病気が少し悪いほうに傾いただけだ。何のためにこんな苦労をしているのだなどと考えていてはいけない。私は家族を守らなくてはならない」と思った。そして「運命を引き受けよう。どんな人生であれ、与えられたところで縁あった人と向き合って共に生きていこう」と思い直した。
最大の危機に直面したご経験から、どのようなことが得られましたか?
おそらくその時私が考えたことを妻も感じたのではないだろうか。それ以来彼女は自らの命を絶とうとする行為はしなくなった。そのすぐ後、私は東レ経営研究所の社長になり、妻と向き合う時間も増えたこともあって妻のうつ病は次第に快方に向かった。
我が家は再生した。
最後に、人生の危機に直面している人へ向けてアドバイスをお願いします。
「悲観は気分のもの、楽観は意志のもの」である。どんなにつらいときでも、どんなに苦しいときでも前向きに楽観的に考え自分の人生を切り開いてはどうだろうか。逆境や困難を意志の力で乗り越えてみてはどうだろうか。
佐々木常夫
株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表
秋田市生まれ。6歳で父を亡くし4人兄弟の次男として母の手ひとつで育つ。自閉症の長男とうつ病の妻を持つ。肝臓病をも患う妻は20年の間に43回もの入院、3回の自殺未遂を起こす。育児、家事、介護に追いかけられる状況の中で、破綻会社の再建やさまざまな事業改革に取り組む。2001年、同期のトップで取締役就任。2003年東レ経営研究所社長に就任。その著書『ビッグツリー 私は仕事も家族も決してあきらめない』が反響を呼び、さまざまなメディアに取り上げられ、2011年ビジネス書最優秀著者賞を受賞。
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