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2011年01月05日

50歳からミュージカルにチャレンジする

今、50歳以上の人だけが正会員になれる「多毛作倶楽部」という大人の趣味クラブを主宰していまして、たった一回きりの人生だから、いくつもの好きなことを持って、人生を多毛作に生きようと呼びかけています。まだ100名に満たない小さな集まりですが、みんなで栃木の川治温泉に泊まっての「里山たっぷり自然体験」や、横浜で釣船を貸し切っての「アジ釣りと海岸バーベキュー」、福島で「雪遊びとスキーと温泉三昧」、静岡では「ゴルフと釣りに開眼合宿」などを企画実践しています。

いくつか複数の趣味を持つこと、互いに笑い合える趣味仲間がいること。それが後半人生を充実して過ごすための必須条件であることは、もう説明する必要はないでしょう。私たちは、まだやったことのない趣味にチャレンジし、行ったことがないところへ積極的に出かけて、残り人生をきっちりと使い切って、「楽しかったぁ、じゃぁね、お先に」と言い残し、みんなに見送られて旅に立ちたいと願っています。そんなことをいつもみんなと酒の席で話しているうち、そんな舞台公演を思いついて、今盛り上がっています。

どうせならミュージカルをやろう!舞台いっぱいのお葬式セットの前で、故人を偲んで歌い踊る、感動の葬儀ミュージカル。タイトルは「OH!葬式」。

全員ド素人の多毛作倶楽部の会員が、本格レッスンを受けて大舞台に立つ、まさに無謀なチャレンジですが、「今までまだ一度もやったことがないこと、おそらく絶対やらないだろうなと思っていたことなんか、やってみたいね」という仲間のリクエストに応えるとすると、ミュージカルの舞台に立って歌い踊り、お芝居をするなんて経験は、正にぴったりです。

多毛作倶楽部では「笑うことは失礼ではなく、笑われることは屈辱ではない」のだから、頑なな思い込みを和らげましょう。そして「死は終わりではなく」永遠と命はつながっているのだから、必要以上に死を怖れて、つまらない生き方をしてしまわないようにしょう、と呼びかけています。

ミュージカル「OH!葬式」では、人生をめいっぱい使い切って、後は任したよ、と安らかにこの世を去って行った男が主人公。けれどこの役は、最初から最後まで棺の中で眠っているだけなので、これは私がやらせていただこうかと…。

赤塚不二夫さんのご葬儀の時のタモリさんの弔辞や、横山ノックさんを送る会での上岡龍太郎さんの献杯のあいさつ。人々の心を打つ、大変素晴らしいものでしたね。故人との想い出を語り、その人だけが知る意外な一面に触れて、改めて故人の優しい人となりが伝わってきます。葬儀への参列者が全員、それぞれの弔辞を読み上げる、という設定のミュージカルを考えています。全員となると心温まる話もあれば、愛人や隠し子なんてのも登場して、妻とつかみ合う愛憎劇にもなって、相当賑やかになるような気がします。

いま世間では、直葬や家族葬が増えて、こじんまりとした葬儀が流行りのようですが、多毛作倶楽部の人たちは、後半人生で沢山の友人が出来て、楽しい時間を共有してきたのだから、その日にもみんなで集まって盛大に見送ろうと話しています。いつの間にか「あの人亡くなったんだって」と囁かれるよりも、大いに語り、泣いて笑って、その日からいつまでもみんなの心の中にしっかりと生き続けるような、そんなメモリアルな大葬儀が相応しいでしょう。見送る人たちは、そうか死は終わりではなく、こうしてみんなの心に生き続けるのだと、心が軽くなり、さらにアクティブに残された人生を楽しむことができるのです。2011年には、高齢者たちが自らの死と対峙して、いかに生きていかに死ぬべきかを問いかけるミュージカル「OH!葬式」が、結構注目されるかも、です。

清水国明

清水国明

清水国明しみずくにあき

タレント

「あのねのね」で一世を風靡。芸能界きってのアウトドア派、スローライフ実践者としても知られ、子ども達の生きる力を育むための自然体験イベント等を積極的に実施している。また自然と共に生きる自身の経験から、シ…

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