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2011年02月15日

まず上の子を鍛えよう

「うちは子どもが三人いて、とてもじゃないですが三人ともケアするなんてことはできません。どうすればいいでしょうか?」

 講演が終わっての質問タイムや出版社経由で寄せられる読者の方からのお手紙で、私がしばしば受ける質問である。

 確かに一人っ子なら親の目は行き届きやすいが、二人、三人…となると、いくら父親力を発揮させようとしても限界があるだろう。

 そういう家庭の場合、私は一番上の子どもとしっかり接してほしいと答えるようにしている。それはなぜだろうか。

 これまで述べてきたように、子どもは親を見て育つものだ。それと同様にお兄ちゃんやお姉ちゃんをまねて育つものだからだ。

「あのうちの子どもは、お兄ちゃんが高校野球で甲子園に行き、弟さんのほうも野球の名門校に入ったらしい。兄弟そろってすごいわね」

「隣のうちは、上の子が東大、二番目の女の子は慶応、一番下の子も今度、東大を受けるそうよ。三人とも頭がいいなんて、どんな家庭教育をしているのかしら」

 皆さんも一度や二度はこのようなうわさ話を耳にした経験があると思うが、そういう家庭はえてして、運動面にしろ勉強面にしろ、一番上の子どもを指導し、鍛えてきたパターンが多いのだ。

 もちろん、子どもの性格によって多少は事情が異なることもある。長男は親の言うことを素直に聞くタイプだが、次男はマイペースなどといったケースもあるだろう。

 ただ、複数の子どもを持つ家庭を取材してきた確率論から言えば、父親が、まず長男や長女に対して、コミュニケーションの時間をしっかり取る、父親としての考え方をはっきり示すなど、密に接してきたパターンが多いのだ。

「お兄ちゃんががんばるなら僕だって…」
「お姉ちゃんに負けないようにしなくちゃ…」

 このように下の子は上の子に感化されるので、「子ども全員と向き合う余裕がない」という方は、まずは一番上の子ときちんと接することを心がけてみよう。

清水克彦

清水克彦

清水克彦しみずかつひこ

びわこ成蹊スポーツ大学特任教授

文化放送入社後、政治・外信記者を経て米国留学。帰国後、ニュースキャスター、南海放送コメンテーター、報道ワイド番組チーフプロデューサー、解説委員などを務める。大妻女子大学や東京経営短期大学で非常勤講師を…

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