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2018年03月20日

これからもガリガリ君を宜しくお願い致します。

『ガリガリ君』は、発売してすぐに大ヒット商品になったわけではありません。あの手この手で道筋を作り、売上が順調になるまでに10年かかりました。たくさんの子どもたちに買っていただけるようになってからも、気を抜かず、少しずつ改良し続け、ようやくロングセラーといわれる商品になりました。ここに来るまで37年。長いようで、あっという間でした。

私は赤城乳業に入社して今年の3月に監査役を退任しますが、半世紀もの時間が経ちました。多くの時間を『ガリガリ君』と共に歩んできたことになります。『ガリガリ君』がロングセラーといわれるようになり、ありがたいことに、いろいろな方から「ヒットのコツ」を聞かせてほしいと頼まれるようになりました。私も、人生の諸先輩や取引先の方々、仲間、書物から、いろいろなことを教えてもらい、人生の糧としてきました。「その恩返しが社会にできるなら」と、さまざまな場でお話をする機会をいただくようになりました。

振り返れば、『ガリガリ君』が誕生する前も、誕生してからも、多くの失敗があり、挫折がありました。最後に、「ヒット商品を作るポイント」と、私が商品開発者として、ビジネスパーソンとして、ずっと大事にしてきた「社会人の心構え」をまとめたいと思います。

ヒット商品を作るポイントは次の4つです。

1つ目は、「過去を否定すること」です。『ガリガリ君』の開発は、赤城乳業の看板商品だったいちご味の氷菓『赤城しぐれ』を全否定することから始まりました。

2つ目は、「お客様の声を聞くこと」。『ガリガリ君』の売上が低迷していた頃、お客様の声を聞いて商品の改良に務めました。これにより、売上がぐーんと伸びたのです。

3つ目は、「お客様を驚かせること」です。『ガリガリ君』の場合は、「でかい、うまい、安い、当たり付」がコンセプトでした。「え、こんなに大きいの?」「しかも、安い!」「当たりまで付いているの?」とお客様が驚くようなメリットをわかりやすく商品に表します。そうすれば、ほかの商品と『ガリガリ君』が並んでいた時に、「得だから、こっちを買おう」と選んでもらえます。

4つ目は、「わかりやすいネーミング」にすることです。私は基本的に7文字以下のネーミングがいいと思っています。『ガリガリ君』は5文字(6音)。『ガツン、とみかん』は7文字です。短くしたほうが、口コミしやすくなります。

私が約半世紀をかけて学び、社会人の心構えとして本当に大切だと思うのは次の3つです。

1つ目は、「夢を持つこと」。「If you can dream it, you can do it.」これは絶対に必要だと思います。夢を持ちさえすれば、叶えられます。どんな時も、自分自身を信じて見捨てない。覚悟を決め、夢に向かって歩いてください。夢は力を与えてくれます。

2つ目は、「禍福は糾える縄の如し」ということ。仕事をしていると、いつも日が当たるばかりではありません。むしろ、日の当たらない時のほうが長い。でも、いつか必ず自分も光が当たる日が来ると信じてめげないことです。そして、調子のいい時は、「勝って兜の緒を締めよ」で、決しておごらず、油断しないこと。いい時こそ、時間をかけて問題点を見つけ、修正するチャンスです。

3つ目は、「挑戦しなければ、何も成し遂げられない」ということです。故ケネディ元米大統領がもっとも尊敬する日本人として挙げた上杉鷹山の有名な言葉がありますね。「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」できないのは、やらないからかもしれません。どうか、チャレンジする精神を忘れないでください。

そして、これからもガリガリ君を宜しくお願い致します(笑)

鈴木政次

鈴木政次

鈴木政次すずきまさつぐ

“ガリガリ君”の開発者そして育ての親

1946年 茨城県出身。1970年 東京農業大学農学部農芸化学科 卒業後、赤城乳業株式会社に入社。1年目から商品開発部に配属される。愛すべき失敗作を生み出しながらも、「ガリガリ君」、「ガツンとみかん」…

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