混乱するアフガニスタンでは女性の出産、そして子供たちの病気を治療できる病院は限られていた。病院までもが武装組織による攻撃対象になり、実際に民間人が犠牲になった事件も多い。診察をうけるために並んでいる村人たちは誰しもが恐怖に震えていた。そして子供たちに診察を施すことのできないことに母親たちは悲鳴をあげていた。
だからこそ今、アフガニスタンの病院事情が世界医療支援のもと大きく動き始めている。病院の復興、自由な診察、診察カルテの導入など母親と子供たちがいつでも診察を受けられる医療環境が出来上がりつつあった。
病院そのものがわずかしか存在しなかったアフガニスタン南部カンダハール。医療施設の不足、医薬品の欠乏、不安定な電気ガス水道の供給の影響で母子ともに出産・産後に多大なリスクを背負わざる得ない状況がここにあった。
アフガニスタンの伝統が色濃く残っているこの地域では女性が教育を受けることや外出することさえも地域によっては認められない場所が多く、病院で自由に診察を受けることが厳しい環境にたたされていた。
医師はこう語ってくれた。「カンダハールには安全で安心して出産できる場所が少ないことがあげられます。この現実を打破する必要がありました。アフガニスタンでは一人の母親が多くの子供たちを出産することが普通であり、母親の体のケアも大切です。この病院の存在が母親と子供たちに大きな安心をあたえているのです。」
別な医師はこう語る。「検診が不定期である病院では患者さんの症状の変化を確認することができなかった。世界では常識であるカルテというシステムを導入することで、診察の効率化はもちろん母子の体の変化に敏感に対応することができるようになりました。この地域の医療事情は飛躍的に進歩しています。」
世界中からの医療支援が続くなかであっても、出産の危険はもちろん、爆撃による外傷を被った村人たちが後をたたない。
日本を始め世界中の医療機関の協力がアフガニスタンの医療環境を大きく飛躍させていた。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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