インドにあるガンジス河で沐浴する子供たち、その家族の姿を見たときに衝撃を受けました。誰しもが川縁からガンジス河のなかに飛び込んでいき、体を清めたり、水を飲んだりしていました。毎日、膨大な数の方々が日の出前から河のなかに体を浸している。何度同じ場所に足を運んでみても、その光景は繰り返されていました。ヒンドゥー教徒の方々にとってガンジス河は聖なる河、このガンジス河に巡礼に訪れることは一生のなかで、大切な宗教の行いでもありました。インド全土から巡礼者が訪れて、河の水で体を清めることは何百年も前から行われてきている宗教行為そのものでありました。ヒンドゥー教徒の方々が生まれてから亡くなるまで、人生のすべてがこのガンジス河に集約されていると巡礼者の方々は語ってくれました。
世界にはその国に根付いた宗教や慣習が色濃く残っています。中東の一帯ではイスラム教の教えにそった儀式が日常の生活の柱となっていました。毎日5回の礼拝を行うことや食事に関する決まりもありました。南米の国々ではキリスト教徒としての街が、教会を中心に形作られていました。巨大な教会を広場の中心にすえて、日曜日はミサと呼ばれる礼拝に訪れる信者の方々の姿に出会いました。アジア一帯では、仏教徒としてのお寺の存在や僧侶の方々との交流が大切な行いの時間として扱われていました。日本もその例に漏れず、お寺に訪れることや一年間365日のなかに据えられた様々な行事は、宗教上の教えに沿ったものがたくさんあります。諸外国に足を運んだときに遭遇する、国ごとの歴史や宗教や生活習慣はカメラマンとしてもっとも目を惹き付けられる一面であります。
外国の方々とお話をしていると、生活文化や宗教のお話に議題が流れることが多々あります。その折に日本の慣習や宗教観を語ってみると、それぞれの国のもつ風習や宗教の教えとの違いを語る議論となります。この激論の時間は日本と世界の違いをもっとも見せつけられる瞬間と言えます。
インドのガンジス河で必ず目にする沐浴の光景は、まさにインドそのものを語ってくれる大切な遺産なのかもしれません。もっともっと撮影を続けていきたいと感じる瞬間でありました。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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