今月からは、困った子に対する親の接し方について述べていきたい。
「うちの子は何をやらせても飽きっぽく、すぐにやめちゃうんです」
多くの親が抱えている悩みの一つだ。残念ながら特効薬はないが、ジワジワ効いてくる方策はいくつかある。
まずは時間と場所を固定させることだ。習い事であれば時間と場所が決まっているが、自宅の場合はルーズになりやすい。
そこで、「○時から○時までは食卓で勉強」、「○時から○時は自分の部屋で遊んでいい」など、家庭の事情に合わせ、子どもに「この時間には、どこで何をするか」を生活の中で植えつけておくのだ。勉強を例にとると、ある日は食卓、またある日は自分の部屋、その次の日は友だちの家…というのでは環境の変化に気持ちが安定しなくなるので、時間と場所を一定のものにし、集中できる体制を作るところから始めてみよう。
そして、集中させるには、最初から欲張らず、五分とか十分とか、短い時間から始めることだ。たとえば、始めるときが午後八時四〇分であれば、「九時までには終わらせようね。九時からはお風呂だよ」などと声がけするのも、集中させるためには効果がある。
この場合、三日で挫折して続けられなくなるよりは、算数でも国語でも、確実に継続できそうなものを選ぶのがポイントで、一週間続いたらほめ、一ヶ月継続できたら「よくがんばったね」と評価しよう。
また、子どもにとってハードルが高そうなものにチャレンジさせてみるのも手だ。「まさか、これはできないよね?」、「これができたらすごいことだよ」などと言いながら、やや難しそうなことに挑戦させると、子どもなら誰もが持っている好奇心や負けん気が表に出てくることだろう。
それでも、飽きっぽい子、集中力のない子には、習い事やお手伝いなど、たくさんの「やるべきこと」を詰め込んでしまうという考え方もある。
英会話に学習塾、スイミングにサッカー教室、お手伝いに宿題の処理…と次々にこなしていかなければならなくなるので、だらだらすることが許されず、いやがうえにも集中力が高まっていく。目先が変わるので飽きることもない。私の取材でも、「詰め込んだことで著しく改善された」という話はしばしば耳にする。ややコストはかかるが試してみてはどうだろう。
清水克彦しみずかつひこ
びわこ成蹊スポーツ大学特任教授
文化放送入社後、政治・外信記者を経て米国留学。帰国後、ニュースキャスター、南海放送コメンテーター、報道ワイド番組チーフプロデューサー、解説委員などを務める。大妻女子大学や東京経営短期大学で非常勤講師を…
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