通常、どのような仕事においても、その仕事における専門知識が必要とされます。例えば、弁護士であれば法律の知識、建築家の仕事であれば建築学の知識、あるいは、医師であれば、言うまでもなく、医学の知識が必要となります。
このラインの話において、私自身、世界中の人々と接してきた経験から明言できる”一つの達観”があります。その達観とは、世界中のいかなる分野のプロフェショナル(職業専門家)においても、(1)「専門分野における知識の量」と、(2)「その本人のコミュニケーション能力」は、必ずしも比例(一致)するものではないということです。
日本でも海外でも、仕事によっては、<かなりの高度な知識・技術>を必要とするものがあります。そのような仕事に従事しているプロフェッショナルにおいては、常に「専門性を深めること」を第一の目標とし、「他者とのコミュニケーション」「他者との心の交流」に重きを置かない人も見受けられます。人とのコミュニケーションよりも専門知識・技術を重要視する仕事であればあるほど、その傾向は強くなると感じます。
しかし、現実問題として、どのようなプロフェッショナルにおいても、その本人が、会社、あるいは、何らかの組織に所属している限り、職場の同僚や取引企業の担当者とのコミュニケーションを避けて通ることは不可能であるということも事実です。
さらに、「社会生活の”基本”・”根本”」に戻るならば、私たち人間は、社会の中で生きている以上、直接的にも間接的にも、常に、他の人間と何らかの係り合いを持ちながら生きています。人間(文明人)は、決して、自分たった一人で孤島(無人島)で生活しているわけでなく、コミュニティーや社会の中で、他の人間と相互に関係を持ちながら毎日を過ごしているわけです。
ここまで話が進むと、特定のプロフェショナルにおける専門知識・技術について考えてみるとき、結局のところ、それがあってもなくても、社会人として社会生活を営んでいる以上、他者とのコミュニケーションについて避けて通るということはできないということが明白になってきます。
言うまでもなく、プロフェッショナルが、自分が携わっている専門分野においてその専門性を深めることは当然の(自然の)行為であり、まさに、”善”の行為といえるものです。しかし、その一方、一事が万事において、自分の分野における専門性を磨くことばかりに目を奪われ、”社会に属する一個の人間”として考えるべき「他者とのコミュニケーションの重要性」について盲目になっている人もたくさん存在するということも “周知の事実”です。
このテーマにおいて、私自身、今、心の奥底から切望していることはたった一つです。それは、一般社会において、他者から「あの人は自分の専門分野には興味があるが、”人間そのもの”にはまったく興味のない人だ!」と言われないプロフェッショナルが増えていくことです。
生井利幸なまいとしゆき
生井利幸事務所代表
「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…
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