前回のコラムでは、「受け止め方を変えると、目の前にある日常が変わって見えてくる」というお話をしました。日々の日常で自分自身に起きている様々な出来事を、もっと自分に役に立つ受け止め方に変えてみましょうという勧めでした。 今回は、その続編です。
「物事や出来事の受け止め方を変えて、もっと自分をうまく機能させる」というやり方は、論理療法、認知療法、NLPなど、心理療法の手法として知られています。今回は、認知療法の考え方でお話さていただきますが、メンタルタフネスを養うためには不可欠ですので、さまざまなやり方を回を重ねてお伝えしていきたいと思っています。
では、ひとつ例をあげます。事務員をしているA子さんの上司は非常に威圧的で、自分が気に入らないことが起こるとヒステリックになり部下に当たり散らすそうです。この上司の前の上司はとても穏やかな方だっただけに、以前に比べ職場全体が暗ーくなっているのだそう。私を含め、その話を聞いていた数人は、「かわいそうに、大変だね。ストレス溜まるでしょ?」と労いましたが、彼女はケロッとこう言いました。 「こういうタイプの上司は、その人の気に入るようにしていれば上機嫌だから、私にとってはむしろものすごく扱いやすいのよね。だから全くストレスないわよ」。私は、「うまく受け止めているなぁ」と感心しました。
皆さんならこのような上司が職場にいたら、どんな風に受け止めるでしょうか? 「こんな上司の職場で最悪だ」、「以前の上司は本当によかった。あの頃が懐かしい…」、「上司たる者、部下の前では冷静であるべきだ」、「こんなダメ上司、尊敬できない。言うこときいてやるもんか!」、「いつまでこの上司の下で働かなくてはいけないんだろう…」。さて、このような受け止め方をすると、感情はどうなりますか?怒り、悲しみ、情けなさ、不安、悔しさ…。どれも、できるならあまり味わいたくない感情ですよね。では、先ほどのAさんはどうでしょうか。上司のふるまいを自分の都合のいいように受け止めることで、嫌な感情を味あわなくて済んでいますね。
皆さんの日頃を振り返ってみましょう。何か出来事が起こると、真っ先に「感情」が湧きおこる感覚があるかと思います。しかし、感情よりも先に「認知」が先に動くのです。認知とは「受け止め方や考え方」のことを言います。よって、その出来事をどのように受け止めたかで、自分の感情は決まる、という考え方です。ですから、「Good News!」と受け止め方を変えれば、感情も変わります。受け止め方をもっと自分の都合のいいように変えれば、余分な感情を味あわなくて済むのです。
このやり方でストレスを和らげたり、強くなることはできます。しかし、万能ではありません。ですが、やらないよりは、やってみて効果を試してみてほしいのです。自分が嫌な感情を味わっているとき、「この感情はどんな受け止め方をしているからなのだろうか?」と、自分に問うてみてください。しかし、自分自身ではなかなか客観的に受け止め直すことが難しいのは確かです。そういうときは、人の手を借りることです。友人や同僚、家族、などに「他にどうやって受け止めたらいいんだろう?」とポソッと呟いてみてください。自分では思いつかないような認知が返ってくるかもしれませんよ。
岩井結美子いわいゆみこ
株式会社コンシャスインターナショナル代表取締役
営業、人材教育、コンサルティングとさまざまな現場での活躍から心療内科の心理カウンセラーへ転進。カウンセリングの現場で女性患者へメイクを施したことで、心理的な問題の解決につながったことをきっかけに、メイ…
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