いよいよ私にとっての本格的なセカンドステージが始まりました。「シンクロの表現の可能性をエンターテイメントショーにおいて追求していきたい」という目標が、今回マッスルミュージカルの春公演への出演が決まったことにより現実のものとして動き出した訳です。
いやがうえにも心ははやります。「どんなことができるだろう。」「あんなことができるといいな。」とイメージはどんどん膨らむばかり。競技を引退してからの1年半はセカンドステージの言わば序幕だったと、今、この時を向かえて初めて私はそう感じました。
幕が開く前に、本編内容の充実度に期待感を持たせる重要な役割である「序幕」。その通り、私にとってこの1年半はわくわくドキドキの連続でした。でもすっきりはしない。まだその本編の内容を自分が知らないから。
この武田ビジョンの連載の中にも、新しいキャリアへ移行する上での不安や葛藤について触れたこともあったかと思いますが、それは本当に正直な気持ちでした。「大きくジャンプしたいなら、しっかりとかがんで構えないと」と自分で自分を納得させながら進んでいくのですが、心の奥底では「跳んだ後の着地点を知りたい」とずっと思い続けていました。
マッスルミュージカルの出演はこの1年半の間に自分が歩いてきた道がどんなものであったかを形にしていくという、先ずは初めての着地点なのだと捉えています。
リハーサルが3月より始まりました。マッスルミュージカルで、もちろん私は水中での演技のスキルを見込まれて今回の出演が決まったのですが、全体を通して一つの作品へと仕上げていく上で、水の中だけではなく陸上でのパフォーマンスにも一演者として参加することに。
飛び跳ねることやすばやくターンをすること、大地を踏み鳴らすことや重力がある世界での倒立姿勢をすることなどなど、未知の領域の新しい挑戦が始まりました。今まで「鍛える」=「水中での筋持久力強化」「水中での瞬発力強化」のように、頭に「水中」がついてのベースだったので、使う筋肉や必要とされる資質が全く違うことに愕然とするところからのスタートになりました。
今までいくらやっていなかったとはいえ、自分がここまで陸上での俊敏性や跳躍力や持久力に欠けるとは…それに気付くこともなく生きていたことに気付きました(笑)。周りの演者さん達の陸上での身体能力は素晴らしく、自分のふがいなさに毎日落ち込むことだらけ。それでも今それが楽しいのです。
「できないことをできるようにする」という取り組みが、こんなにも私を駆り立たせる。選手の時に競技を長く続けられた理由はこの部分にあったのでしょう。リハーサルが始まってみて、初めて知る自分の深層心理でした。結局のところ「負けず嫌い」の性分だということに最後は落ち着くのですが。
マッスルシアターは現在、私たちが泳ぐプールの工事が行われています。今まではプールからの風景しか知らないので、その新しく作られたプールから見える風景はどのように私の目に映るのでしょう。観客は今まで見上げて見るものだったのに、今度は見下ろす位置に自分がいることになります。きっと不思議な感覚になるのだろうな。それも楽しみです。
得点を取るための演技から、見る人に喜んでもらうための演技に変わっていくのもそう。水面上での演技から、水中も見せる演技になるのもそう。
新しいシンクロをどんどん演じながら、セカンドキャリアをしっかり形作って本当のスタートを切りたいと思っています。
陸上の動きも、人様に見せられるようなものにします!頑張ります!だから乞うご期待!!
武田美保たけだみほ
アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト
アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…
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