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2006年08月01日

お金で時間を買う

お金で時間を買うことができるんだと、最近、つくづく思っている。今年の2月に東京にとりあえずやってきた。東京オフィスの開設の準備のためである。それまで東京での仕事はホテルを使っていた。いろんなホテルを転々として、それなりに楽しんでいた。けれど、そんな悠長なことは言ってられない。オフィスの開設まで、ファックスや電話も必要だし、とにかく拠点が要った。しっかりと落ち着く場所を確保しなければならなかった。

そして、ミーハーなわたしのこと。「どうせなら、ちょっとの期間でも六本木ヒルズに住んでみたい!」と、六本木ヒルズのマンスリーアパートメントを借りることにした。もちろん、この時点では、家賃も家賃だし2、3ヶ月のつもりだった。
「どこに住んでんの?」「六本木」
「ひょっとして、ヒルズ?」「すみっこのほうだけどね」
「すごい」「ちょっとだけ」…なんてツカミとネタを楽しむためだけだった。

ところが住み出して4ヶ月。「時間は、お金で買えるんだ」ということを思い知らされた。週3回の部屋のクリーニングにリネン交換。ゴミ捨てに宅急便の預かりにクリーニングの預かり。電球の交換の心配もいらないし、目の前には飲食店も24時間のスーパーもある。とにかく仕事のことだけを考えていればいい状態になれる。

最初は、ヒルズに住みながら次に住むところを考えるはずだったけれど、わたしは全く部屋探しなんてしなかった。東京オフィスを開設することが仕事じゃない。開設した後、軌道に乗せることが仕事である。仕事に終わりなんてない。それどころか「東京に来たんだね」と、仕事は増える一方。

そして考えた。「今の自分に一番大切なのは何だろう?」。わたしは、とにかく人材育成の仕事をとことん極めたくて東京に来たはず。東京を拠点にしたほうが、日本全国どこでも動けるから東京に来たはず。1人でも、一社でも、一地方でもたくさんの場所に行き、たくさんの人に会って、「感じて、興味を持って、動く人づくり」をしたい気持ちで東京に来たはず。

わたしは、お金で時間を買うことにした。とにかく、2年は、この人材育成の仕事を極めたい。クリーニングやゴミ出しや宅急便で悩みたくない。

ということで、当分、ヒルズのマンスリーアパートの更新は続きそうなわたしである。もっとも、そんな話を森ビルの営業マンにしたら 「そんな人、多いですよ」とのこと。良かった、わたしだけじゃなくて。

大谷由里子

大谷由里子

大谷由里子おおたにゆりこ

(有)志縁塾 代表取締役

故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…

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