「順序」って、普段あまり考えないけれど、間違うと、結構大変なことってたくさんある。ビジネスしていると、「誰に先に話をしたか」によって、成る話だったはずのものが、成らなくなることだってある。かつて、わたしは、この「順序」でよく失敗した。
あまりそんなことを考えないわたしは、ある会社に営業に行く時に、何人かまとめてアポを取った。その会社のいろんな人からいろんな仕事をもらっていたので、「どうせ同じ会社だし、そのほうが効率いいし…」くらいに思っていて、深く考えてなかったのだ。専務のところで仕事の話をして、次に常務を訪ねに行った時だった。
「今日は、別に僕の用事じゃないだろ」いきなり言われた。
「えっ、アポを入れていれさせていただいていたはずですが…」
「”ついで”なら、何も僕のところに来なくていいよ」
しまった。
そういえば、その会社の常務と専務は、あまり仲が良くなかった。しかも、常務は、順番を気にする方で、八方美人が嫌いな人だった。その日は常務と話をできる雰囲気ではなく、「出直します」と言って帰った。
かつて、吉本興業という会社では、タレントの名前の順番にものすごく気を使っていた。番組のテロップに「西川きよし」さんと、「桂三枝」さん、どちらを先に書くか大変だった。それだけじゃない。年末の特別番組などで、ゲストが入ると、「真ん中で、『特別ゲスト』にするか…」「『友情出演』にして最後に持ってくるか…」などの討論で、数時間つぶれた。バカバカしくて、「あいうえお順にしたらいいやん」と、何度思ったことか。
くだらないことだと思うけれど、順番を気にする人って、かなり多い。それどころか、ある会社の仕事では、部長と社長が知っていて、副社長が知らされていなかったらしくて、最後まで、副社長から難癖を付けられて、仕事自体がうまく行かなかったことがあった。業者のわたしとしては、その部長に「ちゃんと根回ししておいてよ」と、真剣に思った。
「聞いてない」「俺を通してない」と、怒る人、結構いる。できれば、相手にも嫌な思いをさせないためにも、ちよっと、「順番」を意識してみるといい。ちなみに、わたしは、できるだけ、自分のスタッフを優先に情報を流してもらうようにしている。スタッフから聞いたほうが本人たちにも意識を持ってもらえて楽だと思うから。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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