みなさんは、子どもが同じことをしても、機嫌のいいときと悪いときではまったく対応が違うということはないでしょうか?
このような気分次第の対応をする大人に対して、子どもが尊敬の念を抱くということは絶対にありません。特にまずいのは、切れて感情的な爆発をしてしまうことです。
大人相手ではあり得ないような感情的な爆発も、子ども相手だと平気でやってしまうという親はけっこういます。
子どもは弱い存在ですから、その場で反撃してくることはありません。しかし、必ず何らかの形で親は自分がまいた種を刈り取ることになるのです。
確実に言えるのは、子どもがその大人を見る目が変わり、切れた大人の価値は確実に下がるということです。
そうすると、その人の言うことにも重みがなくなります。いくら親がああしなさいこうしなさいと言っても、子どもは言うことを聞かなくなります。いくら親が正しいことを言っても、子どもは聞く気になれないのです。
大人同士の関係で考えてみればよくわかります。自分の気分次第で対応がかわったり、ちょっとしたことで切れたりするような人の言うことなど、誰も聞くはずがありません。
人間関係では、何を言うかということよりも、誰が言うかということの方が大事なのです。職場でみんなから尊敬されている人が「みなさん、のりしろのある仕事をしましょう」と言えば、みんな本当にそうだなと思って実行しますよね。
でも、いつも自己中心的な態度でいる人が「みなさん、のりしろのある仕事をしましょう」と言っても、みんな「あなたに言われたくないよ」と思うばかりです。
つまり、言っている内容は正しくても、言っている人がそれを言うに値する人でなければ聞いてもらえないのです。大人同士の関係でも親子の関係でも同じなのです。
親野智可等おやのちから
教育評論家
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…
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