ほんの数年前まで勝負事において「競ったら日本は負ける方」、「日本人はハングリー精神を持ち合わせていない」など、ちょっと切なくなるようなことばかり言われていましたが、最近どうやらそうでもなくなってきている・・・と思われませんか?様々なスポーツで競り合ったときの勝率がグングン上昇してきていると思います。特に女子でそれが顕著ではないかと。
つい先日もワールドカップバレー火の鳥NIPPONを観てそう思いました。今回は残念ながら4位という結果でオリンピック出場権獲得は惜しくもなりませんでしたが、世界ランキング1位のブラジルと2位のアメリカをストレート勝ちで下し、しかも最終戦前日は、大会ランキング同点4位で日本と並んでいたドイツ戦に挑み、フルセットの末それを制しました。お互いがまさに意地と意地のぶつかり合い。負けられない戦いでしたが、間違いなく日本のジンクス「競り合いで負ける」は破られたことを私は目の当たりにしたような気がします。
真鍋監督率いる日本女子バレーチームも、全日程で勝ちたい勝負に勝てた訳ではなく悔し涙を流す場面もありましたが、私がこのチームの戦いぶりを素晴らしいと思ったもう一つの理由は、「日本人だからこそできるバレーをとことん追求し、それが世界に通用することを証明した」ことなんです。
各国のチームの平均身長と、日本チームの平均身長。その差は歴然です。日本チームはこの不利な条件を、トスの正確性から繰り出される攻撃パターンの広がりと動きの素早さ、世界一のレシーブ力、相手のブロックの跳び方を観て瞬時にアタックを打つ方向を分けられる個人個人の能力の高さ、などなど、”自分達だからできるバレーを見つけ”、不利を有利に変えていきました。あらゆる策と手をコーチ陣とデータ班によって考え出し、それを形にするための厳しいトレーニングに耐え抜いた選手の皆さんは強い気持ちと身体を手に入れたのです。それをパフォーマンスでぶつけてくれた集大成の結果だと思います。
”体が小さくたってやれることはある”、”コートの地面に誰よりも低く構えられるのは日本人である私達だ!”、”ジャンプの最高到達点が低くてもブロックのわずかな隙間やコートの穴を突きそこに決められる!その打ち分け方を、技術を、私達は身につけてきた!”
そんな心の叫びが、コート上の気迫のこもった選手のプレーを観て漏れ伝わってくるようでした。
以前、現在の日本シンクロチームについて触れさせて頂いたことがありますが、是非この精神をシンクロの後輩たちにも思い起こしてもらいたいと思っています。今は中国を筆頭に各国の成長が目覚ましく日本シンクロチームにとっては苦しい時期ではありますが、そんな中でも絶対にやれることがある。体が小さいからこそ行き届く繊細な表現がある。日本人だからこその誇れる正確な技術の見せ方がある。そう信じて追求していってほしいと思います。
いまやこの話題は、スポーツに限らず日本という国や政治にも通じることだと思います。震災復興、経済不安、少子高齢化、年金問題・・・日本が抱えている問題も、もう一度、日本の良さや文化を見直し、現状の不利な条件をどうやって変えていけるのか。本気で考え結果を出していかなければなりません。誰かが?じゃなく”みんなで”です。
日本は正直大変な状況にあると思います。にもかかわらず、政治が一丸となっていない様子が報道されたりしていると、やはり少しがっかりする気持ちになります。策を講じる人、データを収集する人、指示を出す人、実行する人、実行部隊をフォローする人・・・適材適所に人員を配置して、いいチームになりたいですね。日本はまだまだやれる、活路は必ず見つけられる、これを信じて。それを実証している人達がこの日本にはいっぱいいるんですから。
武田美保たけだみほ
アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト
アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…
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