ある会社が成功した、ある商品がヒットしたという結果に対して、「戦略や着眼点が良かったからだ」「企画力や販売の方法が優れていたからだ」といった解説がよくなされますが、成功の要因としてはずすことができないのは、「それ以前の成功」です。つまり、冷静に見てみれば、以前の成功で得た知見や技術がヒット商品の源泉となっており、また以前の成功で得た人脈や資金が会社を成長させた源泉なのであって、全く連続性のない、ひょうたんから駒のような成功は、現実にはそう期待できません。要は、「成功が成功を生んでいる」わけです。
しかし、当然ですが「成功は、常に次の成功につながる」ということではありません。成功しても、それっきりのこともありますし、成功したばっかりに余計なことをしてしまって失敗を誘発することもあります。分かれ目は、次の二つの思考にあるでしょう。一つは、成功という結果をしっかり見つめ、その要因を多面的に理解すること。もう一つは、その成功を次に使えないか、他に活用できないか、と考えることです。成功しても、それを偶然や幸運と捉えて流してしまったり、工夫の追加や他への応用を考えずに同じことを繰り返すだけになったりしては、成功が一過性のものに終わります。これが成功を、次の成功への機会とできるか、喜んで終わりかの分かれ目です。
人の成長についても、「成功体験が重要」と言われます。人材育成を真面目に考える上司はたいてい、成功体験を積ませることに腐心しています。しかしながら、上と同じように考えれば、成功体験そのものが大切でないことが分かります。成功体験をどのように理解させ、どのようにして次に活かしていくかを考えさせることが、大切だということです。でなければ、いくら体験させても成長しない、となりかねません。成功体験が、成長へつながっていくか、単なる良い思い出に終わるかの分かれ目です。
端的に言うと、成功体験をしても、「経験から学ぶ力」がなければ意味が薄い。「経験から学ぶ力」とは、あれこれ与えたり、教えたりしなくても、自律的に(放っておいても)成長していける人材になるための素養とも言えます。
大型の受注を取ってきた、若手の営業マンがいたとします。その彼に対して、「結果を褒め、しっかり評価をし、より期待をかける」という上司と、「この結果を得ることができた理由を、3つにまとめて教えてよ。できたら、次のミーティングで発表してほしいな。」という上司の違いを考えてみてください。もちろん、前者も悪いわけではありませんが、後者には、経緯を振り返らせ、大切なことをシンプルにまとめさせ、発表させることによってそれを本人の知識に定着させよう、といった意図が感じられないでしょうか。成功体験を成長に結びつけるには、このような問いかけによって、経験から学ぶ方法を教えることが重要です。
川口雅裕かわぐちまさひろ
NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)
皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…
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