子どもの勉強に対する「好き」の度合いを一段と高めるには、子どもが身を乗り出すように興味を示した話、面白がって食いついてきた話題を、あえて途中でストップしてみるのも手だ。
私たちが好物の食べ物をお腹いっぱい食べてしまうと、「もうしばらくケーキはいいよ」とか「天ぷら? 食べ過ぎて胃もたれしちゃったよ」という状態になる。
それを腹八分でやめておくと、そのときは食べ足りない気がするが、「また食べたいな」という気持ちになるものだ。
子どもの興味や関心も似たところがあるのではないだろうか。
たとえば、本の読み聞かせを親に求めてくる子どもがいたとして、親が三冊も四冊も一度に読んで聞かせると、子どももさすがに飽きてくる。漢字練習や算数のドリルをすることに抵抗がなくなっている子どもに、だからといって長時間やらせてしまうと、子どもにとって、それまで嫌ではなかった漢字練習やドリルが「苦痛なもの」に化学変化してしまう。
「今日の読み聞かせは、この一冊でおしまい。また明日ね」
「漢字も上手に書けたし、ドリルも早くできたから、今日はここまでね」
このように、好きな食べ物と同様に腹八分でストップしたほうが、子どもの「好き」は持続するように思うのだ。
私は、ちょうどテレビの連続ドラマで次回に視聴者の期待をもたせる終わり方をするように、「いいところでやめる」や「子どもがもっと知りたそうにしているところで終わる」というのが理想的だと思っている。
「羽柴秀吉って、ほかにどんなところがすごかったの?」
「原発がなくなったら、電気はどうなっちゃうの?」
このように、子どもの興味が高まり、「もっともっと」となったところで、
「もう遅いから今日はここまでね。また明日、お話してあげる」
こんなふうに話を引き取り、明日への興味につなげてみればいいのだ。
未知を知るのはワクワクする、どんな展開が待っているのか知りたい、だから明日が楽しみ…あえていいところでストップすることで、子どもにこんなイメージを植えつけることができれば、私は大成功だと思うのだ。
清水克彦しみずかつひこ
びわこ成蹊スポーツ大学特任教授
文化放送入社後、政治・外信記者を経て米国留学。帰国後、ニュースキャスター、南海放送コメンテーター、報道ワイド番組チーフプロデューサー、解説委員などを務める。大妻女子大学や東京経営短期大学で非常勤講師を…
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