「ミシュランよりあてになる男」松尾大さんとは、大阪の貝塚市に竹の子堀りに行って、採れたての竹の子を料理人に料理してもらい、ビオワインと合わせていただくという、”自然”をテーマにした楽しい食のイベントで出会いました。
関西に住んでいても、ちょっと頑張って出掛けるか…という山奥の里に、わざわざ東京出張からそのイベントのために飛行機で帰って来たという大さん。「食」に対する好奇心と興味が半端でなく、一風変わった人なのかと思いきや、初対面にも関わらず竹の子づくしのメニュー、一皿、一皿に「この感じがいいでしょ」とぴったりのワインをグラスで選んでくれる感じの良さ。ビオワインもさることながら、大さんこそ、ビオワインをも超える?ナチュラルな存在でした。それまで周りにいた自称ワイン通の男性達は、ワインを語るのが趣味で、飲む前のうんちくが長く、シャトーや年代に価値があるワインでも残念ながら「退屈な味」になっていたのです。
ステイタスとしてのワインに違和感があった私には、ナチュラルで気負わず楽しめるビオワインとの出合いは本当に嬉しい発見でした。今でこそオーガニック志向とともに定番になりつつあるビオワインですが、10年以上も前からその選び方とカジュアルな楽しみ方を知っていた大さん。先日、メールで誘ってくれたのが、彼らが主催する「フェスティバン」というワインのイベント。材料はもちろん、生産までもすべてが自然という「ヴァンナチュールワイン」が集められ、そのワインと相性のいい”おつまみ”が屋台として並び、音楽は心地よいライブで、大さんが昔から言っていた「ちょうどいい感じ」が凝縮されていました。会場には、新しい価値観のワイン好きが1500人も来場。後でこの日、一日で空いたワインが1100本と聞いて、その盛り上がりがどれほどだったかがよくわかりました。
噂を聞いて現在、トレンドに敏感な大手百貨店からイベントを店舗に!という話も進展している様子。「今どき、金魚ばちみたいなグラスで赤ワインをグルグルしている男はイタイでしょ…」関西人らしい、笑える毒舌をはさみながら大さんが教えてくれたこれからの季節にオススメのワインとは。シュワシュワ系の好きな女性なら、微発泡で自然な甘みもある「ぺティアン」からスタートして、ロワールの白あたりを。もう一杯なら、ボジョレー村の赤もいいとのこと。きっと季節のお料理や空気感に合って、カジュアルにオシャレする女性にとって「ちょうどいい感じ」のセレクトに違いありません。
お子様お断りのホテルフレンチに2才でデビューしてから、一流の味を自費で体験、雑誌「meets」の副編集長時代には、足で集めた安くて美味いB級グルメネタでヒットを飛ばした大さん。最高級でも最安値でも美味しいものを知っているからこそ、大さんの「いい感じ」は、信頼できるのです。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…