子どもたちは、自分たちが使っている教科書以外に教科書があるということを知り
ません。子どもだけでなく保護者の方々もあまり意識したことはないと思います。
実は、小学生の教科書は、どの教科も6つくらいの出版社から出ています。私は自分のクラスの子どもたちにいろいろな種類の教科書を見せたことがありますが、とても新鮮に感じたようで一生懸命読んでいました。
ですから、家庭でもいろいろな教科書を用意してあげるといいと思います。そうすれば、読み物、参考書、問題集として活用できます。
たとえば、算数の教科書は問題集として使えます。そこに出ている問題は、内容的には自分の教科書と同じ程度のものです。でも、文章問題の出し方が微妙に違っていたり計算問題の数字が違っていたりします。
ときには、計算のやり方や問題の解き方などで、自分の教科書と違う説明がされていることもあります。自分でそういうところを発見すると子どもは喜びます。
また、国語、社会、理科の教科書は、読み物として楽しむことができます。特に、国語の教科書に出ている物語、詩、説明文などは教科書によってけっこう違っています。ですから興味深く読むことができます。
歴史の教科書は、2種類と言わずたくさん用意してあげるといいでしょう。歴史上の1つの出来事についても、教科書によって表現の仕方がけっこう違っていることがあります。そこを読み比べさせるといろいろな発見ができます。
とはいえ、基本的には、子どもが苦手な教科よりも、好きな教科の教科書を複数用意してあげるほうがいいと思います。
好きな教科なら、自分で進んで読んでみようという気持ちにもなりやすいからです。苦手な教科だと、自分の教科書すらろくに読まないので、さらに別の教科書というのは難しいと思います。
なお、他社の教科書を手に入れたいときは、全国教科書供給協会に問い合わせるといいでしょう。
親野智可等おやのちから
教育評論家
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…
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