わたしが講師として声をかけてもらえるようになったのは15年くらい前。
そのころ、わたしは企画会社の社長だった。
そして、労働組合や企業の社内報の編集を手伝わせてもらっていた。
当然のことながら、いろんな労働組合の執行部や
企業の総務部の人たちと知り合う。
「会社によってこんなに違うんだ」
労働組合といっても、産業や会社、地域によってまったく違うことを知った。
「そんなことを書いてみない?」
と、労働組合のナショナルセンターが出す「連合」という雑誌に
連載をさせてもらうことになった。
もちろん、わたしが労働運動のことを書いても仕方ない。
現場で何が起こっているか、組合によってどんなに違うかなどを
楽しく書かせてもらっていた。
それを読んだ労働組合のメンバーから、
「この人、おもしろい」と、講演に呼ばれるようになった。
今の時代の労働組合。闘争ばかりしているわけでもない。
自己啓発とメンタルヘルスがキーワード。
そんな話を盛り込んでいると、会社のセミナーや研修も頼まれるようになった。
また、その講演会に参加されている人から、
PTAなどの講演会に呼ばれるようになった。
おもしろいことにPTAなどには、地元の経営者もいる。
そこから、社長たちの集まりへ呼んでもらうことにもなった。
元々、わたしは講師の仕事がメインでもなんでもなかった。
ただ、人が好きだったし、人との出会いが楽しかっただけ。
だから、「どうしたら講師の仕事が増えるんですか?」
と、他の講師から訊かれても結構悩んでしまう。
「目の前の人に合った話をし続けてきただけだよ」と、言うしかない。
ただ、これだけは言えるかも。
目の前の人に満足してもらえることをちゃんと真面目に考えてきた。
この人たちは、どんな情報が欲しいのか。どんな答えを欲しがっているのか。
主催者はどうか。参加者はどうか。どうしたら、すり合わすことができるのか。
だから、行く前に地域やその会社のこともよく調べる。
控室では、できるだけ担当者の話を聴く。そんなことをしてきた。
基本的なことだけど、これは最も大切なことだと思う。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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