空が少しずつ秋色に染まり、鰯雲がみられるようになりました。
日が短くなり、少しずつ涼しくなった風とともに夕暮れ時に虫の音を耳にすると、
ちょっぴり寂しい気持ちになるのは私だけでしょうか。
季節は、ゆっくりと秋へとバトンタッチしています。
2020年に東京でのオリンピックが開催されることが決まり、連日メディアがその話題で賑わいをみせています。7年後、日本の社会はどのようになっているのでしょうか。そして、私たちはどのような生活を送っているのでしょうか。これから迎えようとする社会に思いを馳せました。
オリンピックの開催は、大変嬉しいことでもありますが、その反面、風化させてはならないことがあることを忘れてはならないように思います。
東日本大震災から2年半が過ぎた今も、行方不明者は2654人、仮設住宅で暮らしながらまた寒い冬を迎えなければならない方々が多くいらっしゃることも現実で、復興の遅れを憂えざるおえない状況でもあります。
被災地の方々は、深い悲しみを胸に抱きながらも、それぞれの大切な思い出を糧に前を向いて歩みを進められています。そのことを忘れてはならないことであり、風化させてはならないことでもあります。政府が復興五輪と掲げた限りは、オリンピック開催に向けて頑張る力とともに、他人の痛みとしてとらえるのではなく、自分の問題として考えながら被災地の復興に向けて後押しする力も必要になります。特にメディアはこの問題を、風化させてはならないことをしっかりと認識し、取材を続けて欲しいものです。
生きづらいと言われる世の中で、皆それぞれ大切な人やものを守るために、日々必死に生きています。
いつもの通勤電車の車窓から小さな町工場を見ることがあります。暗くなっても淡い電灯が灯り、その下で働く人の姿がいつもあります。小さな部品を造っている工場のようですが、暑い夏の日も油にまみれながら窓をいっぱいに開けて作業服姿の人達がもくもくと働いています。こういった人達が、今の日本の経済を支えてきた人達でもあります。働けどもまだまだ多くの人達の生活は豊かではありません。一生懸命に働いている人達が報われる社会になって欲しいものです。
人が生きるということは、喜びや悲しみ、そして苦しみを抱えながら生きることでもあります。そういうものを持ちながらも、前を向いて希望が持てる社会になった時、この社会の本当の豊かさや喜びが見えてくるように思います。
”おもてなし”の心はとても素晴らしいこと。まずはこの国に生きる全ての人々におもてなしの心がゆきわたり、誰もが大切にされる社会になることを2020年に向かって願ってやみません。
春日美奈子かすがみなこ
フリージャーナリスト
國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。
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