2年半ぶりにシアトルから帰国した真理ちゃんが、フライトが遅れて深夜1時の到着になったにもかかわらず、その日の午前中に駆け込んだのは、友人から紹介された美容室。「後頭部の微妙なボリューム感が気になって、ふんわりさせてから久しぶりの東京ナイトにでかけたいと思って…」。
真理ちゃんは学生時代に神戸在住のJJモデルとして誌面に登場してもらっていた頃から、ずっとショートヘア。当時、男子ウケするレイヤードやワンレングスのロングヘアや巻き髪の女のコばかりのなか、黒髪のショートヘアにアライアのミニを着こなすオシャレな彼女は、同性からも憧れられる有名人だったのです。以来ショートヘア歴20年以上の彼女とは知らず、初めて担当したサロンのスタイリストさんは「いま、日本では、お客様世代の方に、この人のショートヘアが人気なんですよ」と、女性誌STORYの表紙を指さして富岡佳子さんのふんわりヘアをお勧めしたとか。
確かにふんわりさせたいとオーダーしたけれど、明るめのカラーリングで毛先に動きがあって外国人のクセ毛のようなふんわりショートではなく、真理ちゃんがふんわりさせたかったのは、後頭部のボリュームアップ。パープルの柄レギンスにブーティ、大判ストールを巻いて、レザーの異素材コンビのアウターを羽織る外國人感覚の着こなしには、逆にダークカラーのショートが日本人の和のテイストとして必要なのだということ。
海外に長く暮らして、自分らしさが必要だという思いは、よりいっそう強くなったと話してくれました。実家が神戸の呉服屋さんということもあって、子供の頃から外国人と和の文化が身近にあった真理ちゃんだからこそ、ヨーロッパのインポートファッションを着こなしても黒髪にこだわり、着物を着る機会も多かったので、ショートヘアでもバランスのいい髪型を心得ているのだと思います。
「最近シアトルでも、ファッションとしての和がブームで、母と一緒に日本の浴衣や着物のショーを企画したところ大好評。次は美術館でもイベントをすることが決まりました」。前回帰国したときには、専業主婦だった真理ちゃんが、2人の子供たちの成長とともに自分自身が社会と繋がる仕事として、お母さんと始めた着物イベントは、現代アートとして表現の場も広がりを見せています。今回はヴィンテージの着物を探すために、京都へも立ち寄るスケジュールと聞きました。真理ちゃんの黒髪ショートに似合うヴィンテージなら、きっとアメリカ人にとって、和モダンのセンスにピッタリなのではないでしょうか。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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