子供たちが自由に学校に通い、自由に学ぶことが出来る。この誰しもに与えられている大切な日常が、世界では決してあたりまえではない地域がたくさんあります。昨年の7月、国連演説の中で一人の女の子が語りかけました。「一本のペンと一冊の本、そして一人の先生がいれば、世界を変えることができる。」
宗教の規律で女性が自由に学ぶことを許されない地域が世界にはたくさんあります。その一帯では、女の子たちが学校に通っていると、教育を認めない武装組織によって学校が爆破されたり、教育を受ける生徒が殺害される事件が多発していました。紛争地に限らず世界中が今、気がついています。戦争は武器を使って止めるものではなく、教育によって止めることが出来ることを。
国連で演説をした女の子の名前はマララ・ユスフザイさん、パキスタン出身の16歳。女性教育の自由と権利をインターネットのブログを使って訴え続けたことで、自由教育を認めないイスラム武装勢力タリバーンによって2012年10月、頭部に銃撃を受けました。奇跡的に命を取り戻すことができたマララさん、昨年の7月の国連演説では武装勢力に屈しない声を世界に届けました。
世界中の国々で続く教育環境づくり。そこでは校舎はもちろん教科書や机、いす、通学路…子供たちが誰でも安心して自由に学べる環境を整える為に世界各国が手を結び、暴力に屈しない力を広げています。
マララさんの祖国であるパキスタンでも隣国のアフガニスタンでも、女の子の教育環境を整えることで、国のかかえる情勢を変えていくことができると各国の大統領も力を注いでいます。
学校で学ぶ子供たちは誰しもが夢を持っていました。将来は先生になること、エンジニア、医者になること、自分の国を変えていく仕事につくこと壮大な夢を語ってくれました。自由に学べる力に気がつく、大切なきっかけを語りかけてくれたパキスタンの少女は、将来祖国パキスタンの首相になることが夢だと想いを伝えました。歴史に一人の女の子の名前が刻まれたことは間違いありません。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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