「頑張って千円ですね」
こう言われてしまったのは、デザインの美しさに一目惚れして買ったGIVENCHYのブーティ。残念なことに、いざ履いてみると微妙に足の形と合わず、買い取りに来てもらった担当者に見せたところ、新品にもかかわらず購入価格の100分の1以下の値付け。あまりのショックですが、これがいまの相場とのこと。
自宅まで来てくれて、その場でシーズンオフのものを持って帰ってくれることで、クローゼットの整理とスペースの確保ができる便利さに、数年前から利用するようになった訪問型の買い取りシステムですが、このところどんなに旬なブランドの服でも、セレブやモデルに人気のバッグや靴だとしても、モード色が強いものほど二束三文?ここでは価値がないのだと痛感させられることが多くなりました。
HERMES、CHANEL、LOUIS VUITTONの3大ブランドの定番バッグや、MONCLERのダウンなど、一般の人々にとってわかりやすい商品でなければ、悲しいことに5百円単位の買い取り価格も続出です。
GIVENCHYの靴以外にも、LOEWEのボストンバッグやイタリア製のムートンコートなど、いくつかかさばるものを買い取ってもらおうと用意していたのですが、1足目の値付けのショックから、自分で梱包することを面倒くさがらず、親戚に送ることに変更。
「わざわざ来ていただいたのにごめんなさい」担当者にそう言うと「最近はノーブランドやファストファッションでOKという人が増えていて、微妙に高価なインポートが動かないんですよ」と、逆に申し訳なさそうな様子に買い取りビジネスも厳しい現実なのだと納得。
「オシャレだとはわかるのですがトレンド色の強いデザインは本当に難しいですね」。流行は安く買ってしまうという意識がますます強く、来年古くなるものは1万円以上で買いたくないという時代になってしまっているようです。
インポート世代の私たちとは価値観の違う「安カワ現象」はこんなところでも実感することになりました。最後に見てもらおうと思っていた、撮影のために高級セレクトショップ、リステアで購入したCAMILLA SKOVGAARDのブーツを、おそるおそる出してみると「ごめんなさい、これはウチでは無理です」との返答。もはや5百円でも買い取りたくないという本音に、これからは自分の身の回りは、最低限必要なお気に入りだけにしなければならないと心に決め、最小限の衣替えで済むよう、スリーシーズン対応のワードローブに変えていこうと誓ったのでした。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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