なんでも、研修すればいいというもんじゃない。
講師どうしで、よく話題にすることがある。
「向き、不向きってあるよね」
どんなに研修しても、教えても、
人によって向かない仕事というものはある。
実際、わたしだって、ある。
不器用なわたしには、ぜったい、細かい仕事は向いていない。
かつて、家庭科の宿題でも、前身ごろと後身ごろを縫ったものの、
一緒に塗ってしまって、どこからも袖に手を通せなかったことがあった。
結構器用なうちの母は、
「どうやったらこんなものが縫えるの?」と、
不思議がったけれど、わたしも分からない。
そして、そんなことが何度もあった。
体操服にゼッケンをつけたら歪んでいたり、
彼にマフラーを編んだら、太さが始めと終わりで違っていたり、
「ぜったい、わたしは、ものづくりの仕事をしたら、人に迷惑をかける」
そう思ってきた。
先日、大手の模擬試験や受験のテキストを作っている会社の
メンバーと話をする機会があった。
「受験にも向き、不向きがあるんですよ」
「どんなこと?」
彼に言わせると、良い、悪いは、別にして、
今の受験制度だと、有名な学校に入ろうとすると、
いかに早い時間で、いかに多くの問題を正確に解けるかが重要らしい。
「だから、国語の問題などで、文章に感激してしまう人間は
受験には向かないんですよ」
それ、わたし??
確かに、模擬試験の問題を読んで、SF作家の星新一さんにはまった。
結果、帰ってきて、いっぱい星新一さんの本を買ってきて、読みあさった。
そんな話をすると「ぜったい大谷さん、受験に向いてなかったね」と笑われた。
ナットク・・・。
営業させたら、めちゃめちゃ得意だけれど、事務仕事が苦手な人もいれば、
接客は、すごく好評なのに、レジを打たせると必ず間違う人がいる。
「部下の不得意なものを怒って、治させるよりも、得意なものを伸ばす」
研修では、よく言っているけれど、自分の会社になると別。
「なんで、同じ失敗をするの!!」
と、自分のことを棚に上げて、イライラしてしまうことも多々ある。
だからこそ、自分が何に向いていて、何が向いてなくて、
向いてないことを素直に認めて、間違いを起こさない仕組みを作ることが大切。
わかっているけれど、それをするのが苦手なわたし・・・。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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