先日、ある中学校の校長先生とお話しした際、こんな相談を受けました。
「うちの学校でも、生徒同士のスマホトラブルがすごく増えているんです。でも、保護者の方はあまり関心を持ってくれなくて、学校でうまく指導してほしいと。そう言われても、こちらもネット事情に詳しくないので困ってます。生徒にどう話せばいいでしょうか」
おそらくこうした悩みは、全国各地の学校で起きているでしょう。子どもにスマホを買ったのは親、当然ながら家庭でルールを決めたり、利用方法を教えるのがスジですが、「学校に丸投げ」、「先生にお任せ」という保護者は少なくありません。
もちろん、生徒同士のトラブルの場合、学校が介入する必要はありますが、先の校長先生が言うように、「ネット事情に詳しくない」、そんな現実もあります。
先生の中には、いまだに「LINEって何?」、「ガラケー(従来型の携帯電話)しか持ってない」などという方も。たとえば生徒から「ツーショットルームに誘われた」と相談されても、そもそもの「ツーショットルーム」の意味さえわからず、話が通じないケースもあります(ちなみに「ツーショットルーム」とは、二人だけで会話できるネット上のシステム。個室で会話しているようなもの)。
では、先生がネットに詳しくなれば、生徒をじょうずに指導できるでしょうか? 基本的な知識や、最近のネットトラブルの例などは知っておいてほしいところですが、必ずしも「ネットの達人」になる必要はありません。第一、今の教育現場にそんな時間的余裕はないでしょう。
子どものネットトラブルは、大きく分けて次の4つの要因から発生します。
1.身近な人間関係
2.見知らぬ人との出会い
3.安易な利用や登録
4.困ったことが起きてもひとりで抱え込む
まずはこの4点を、生徒に尋ねてみましょう。実際に「心当たり」のある子どもは、たくさんいると思います。
次に、心当たりがあるならどうするか、という話につなぎます。具体的な対策や指導ついては次回に詳しく書きますが、ひとつだけ挙げるなら「逃げる力」を教えることです。
「NOと言える」、「イヤな情報はスルー」などと言い換えてもいいですが、要は自分を守るためには早めに逃げよう、エスカレートする前にやめよう、ということです。
ネット掲示板などを見たことがある方ならご存知だと思いますが、お互いの書き込みや言葉がどんどん過激になっていくことがほとんど。自分では気づかないうちに、エスカレートするのがネットの特徴です。
まずは「早めに逃げる」という方法を教えておくのが大切なのです。
石川結貴いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…