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2014年09月01日

「まだまだいける」が大人買いの動機

 「化粧品市場、50代が主役」2013年の化粧品市場は1兆2203億円。この10年横ばいが続くなか、50代以上の層のシェアが5割近くにまで達し、10~30代を上回る傾向という日本経済新聞の記事を読みました。その後、各メーカーがこの秋の新製品を先行発売するイベントを開催する中、銀座三越の資生堂、クレ・ド・ポー ボーテのアイメークキャンペーンに出かけてきました。
 
 地下鉄との連絡通路につながる入口から入ってすぐの右側に、8席のメイクカウンターとスタッフがスタンバイ。その中から、一番センスがありそうな(あくまでも見かけが大切)女性に「新色のアイシャドウを試したいのですが」と声をかけて一番奥の目立たない席に座りました。

 実は、すでに発売されている美容誌VOCEや、美的で新色の下調べは終えていて、購入しようと思うアイシャドウは決まっていたのですが、データや、誌面では得られない、プロの美容部員のアドバイスやテクニックの伝授を期待して出かけたのです。

 「お客様は普段、ブラウン系ですか?」さっそく、私の普段メークを分析して、すでに持っているであろうアイシャドウのカラーバリエーションを確認。次に「お使いのシャドウとは違うニュアンスで、透明感のある繊細な発色のブラウンをご紹介します」と私のお気に入りのスタイルに新しい輝きをプラスするという提案がありました。

 「やっぱりそうだよね」心の中で、買おうと思っていたオンブルクルールクアドリn 305のお勧めに納得していたところ、「もうひとつ、ぜひお客様に試していただきたいカラーがあるのですが・・・」と、別のパレットが持ち出されました。それは、メタリックなシルバーと少し色っぽさのある赤紫のコントラストが美しいn 306でした。「どちらもおつけできます」ということで、2セットとも試してみると、ゴールドブラウンn 305はいつもと違うダブルグラーデーションの塗り方で今季トレンドのアイメークに、きりっとメークが好きな私には違うかも・・・と少々不安だったn 306 は、秋のややクラシカルなファッションに似合う、大人セクシーな目元が完成しました。

 結局、大満足で、7,500円のシャドウを2個買いすることになり、さらにシャドウを引き立てる、新発売のマスカラ5,000円も一緒に購入。秋メイクのデビューに20,000円の大人買いです。
 
 お会計を待つ段階になって、周りを見てみると、残りの席も満席。それも、見事に大人の女性ばかりで、ほとんどの人が新色のシャドウとマスカラをセット買いしている様子でした。ドラッグストアで1,000円前後のプチプラコスメを探す10代~30代のお買物金額のざっと5~6倍ということでしょうか。日経新聞の記事を思い出しながら、化粧品メーカーが、50代前後の大人ブランドの強化、あるいは新ブランドの立ち上げに注力するのは正解だと実感しました。

 ただ、学生時代から、ディーオールやシャネルといった高級化粧品を愛用してきた化粧品キャリアのレベルが高い、Hanako世代(1959年~1964年)をターゲットにするなら、品質はもちろん、彼女達に「まだまだいける」と思わせるメークアドバイスが必要になってくると思います。もとが取れるお買物なら高くてもOKという世代だからこそ、納得できる商品説明と、現役でい続けたいと思う女心を満足させてくれる新しい情報のセット販売が望まれているのだと思います。

中村浩子

中村浩子

中村浩子なかむらひろこ

株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長

大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…

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