ハビエル・アギーレ監督率いる日本代表のメンバーが、ついに発表されました。メディア上には「サプライズ」の文字が躍っています。日本代表に初めて招集されたのが5人で、代表経験はあるものの出場経験のない選手も2人いる顔ぶれば、確かに新鮮なイメージをもたらすでしょう。
私の印象は少し違います。監督が代われば選考基準は変わります。また、香川真司と原口元気はケガで招集できなかったと、アギーレ監督が明言しています。サプライズと言うよりは、「視察をしたなかで興味を持った選手を選んだ」ということでしょう。
初代表の選手については、「面白い選手に目を付けたな」と感じます。サンフレッチェ広島の皆川佑介は、186センチの高さを持ったストライカーです。ザッケローニ前監督が使わなかった長身FWを戦力として取り込めるのかは、興味深いところです。
日本には長友佑都、内田篤人、酒井宏樹ら、精度の高いクロスを供給できるサイドバックがいます。彼らの特徴を引き出すためにも、空中戦を競り合えるフォワードを選んでもいい、というのは私の個人的な意見です。
イケメン慶大生として話題の武藤嘉紀は、思い切りの良さが持ち味のサイドアタッカーです。所属するFC東京では、チームトップの7ゴールをマークしている。また、彼は攻撃だけでなく、ディフェンスでもハードワークできます。これは皆川にも言える特徴で、「攻撃も守備もしなければならない」というアギーレ監督の哲学に沿った選考でしょう。
ミッドフィールダーの新顔である森岡亮太は、センス溢れる攻撃的なプレーヤーです。ヴィッセル神戸が誇るマルキーニョスとペドロ・ジュニオールのブラジル人フォワードを、背番号10を背負う23歳が巧みに操っています。球際に強いのも長所です。プレッシャーを受けながらでも、決定的なパスを出すことができる。ヴィッセルのカウンターサッカーに、効果的なアクセントをつけているのは森岡でしょう。
彼らのような新戦力を迎えるのは、モチベーションの高揚につながります。ザッケローニ前監督のもとで代表に縁のなかった選手も、「皆川が呼ばれるなら自分も」といった思いを抱ける。武藤のようにドリブルが得意な選手なら、「同じタイプとして自分にもチャンスがある」と考えるでしょう。
フレッシュなタレントの招集と並行して、アギーレ監督はブラジルW杯の主力を招集しました。本田圭佑、長谷部誠、川島永嗣、長友らが、引き続き日本代表に名を連ねています。
9月5日のウルグアイ戦、同9日のベネズエラ戦はテストマッチですが、結果を問われないわけではありません。同時に、9月、10月、11月に2試合ずつ行われるテストマッチは、来年1月に行われるアジアカップへ向けて、自らの哲学を浸透させていく時間になります。
アジアカップで優勝した国は、ワールドカップの前年に開催されるコンフェデレーションズカップに出場できます。プレ・ワールドカップの意味合いを持つこの大会は、ヨーロッパや南米の強豪と真剣勝負ができる重要な機会です。すでにブラジル・ワールドカップ優勝のドイツの出場が決まっており、その他にも2015年の南米選手権王者、2016年の欧州選手権チャンピオンらが集結します。
日本サッカー協会から公式なアナウンスはありませんが、アジアカップ優勝はアギーレ監督に課せられたノルマです。就任から半年に満たないタイミングですが、ほぼ同じ条件でザッケローニ前監督は2011年の大会を制しました。「時間がない」という言い訳は通用しません。
アジアカップ連覇というターゲットから逆算して、年内に行われる6つのテストマッチをどのように活用するのか。アギーレ監督のマネジメント能力がそこから見えてきますし、その第一歩が9月の2試合です。新たなスタートを切った祝福ムードに包まれている余裕は、日本代表にはありません。
山本昌邦やまもとまさくに
NHKサッカー解説者
1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…
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