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コラム 教育

2014年09月25日

学校で教えたい、じょうずなネット利用のための力2

 前回に引き続き、学校は子どものネットトラブルにどう対応すればいいか、具体的に説明しましょう。子どものネットトラブルは、大きく分けて次の4つの要因から発生します。

1.身近な人間関係
2.見知らぬ人との出会い
3.安易な利用や登録
4.困ったことが起きてもひとりで抱え込む

 今回は「1.身近な人間関係」で起きるトラブルをどうするか考えてみたいと思います。クラスや部活動の仲間からSNSで悪口を言われる、LINEをやめられない、友達が勝手にネット上に写真を載せた…、こうしたトラブルが頻発しています。「親しい関係」だけにかえって問題がこじれ、精神的落ち込みや孤立、不登校などにつながってしまうことも少なくありません。

 だからといって「友達と関わるな」とは言えないわけで、子ども同士になんらかのトラブルが起きたあと、要は事後の対応が重要となります。

 被害者からの相談や訴えを聞くことは当然ですが、加害者の子どもの話も把握しましょう。というのも、ネット上では「気軽な気持ちでやってしまう」ことが多いからです。何かをやった(言った)側は、「悪口とは思わなかった」、「相手が傷ついているとは知らなかった」などと言うことがしばしばあります。
これはネットの特徴で、スマホやパソコンなど「機械」に向かって発信しているため、生身の感情に鈍感になってしまうのです。
誰かに面と向かって「死ね」とか「キモイ」とは言えなくても、機械経由だと平気で言えてしまう。あるいは、絵文字やスタンプ(表現を表すイラスト)などを使えば、キツイ言葉が緩和されるような気になる。ネット上のコミュニケーションにはこんな特徴があり、どうしても過激になりやすいのです。
決して過激なことを言っていいわけではなく、加害者への指導は欠かせませんが、「相手に悪気はなかった」という点は被害者に伝えたほうがいいでしょう。相手の言葉をストレートに、真に受けて傷ついている場合、「実はそんなに深刻に受け止める必要はない」と知るだけでも気持ちが楽になります。
これは身近な人間関係に限ったことではありません。ネットの情報やコミュニケーションをあまり真剣に受け止めすぎると、それだけで疲れてしまいます。どこかでうまくスルーしておく、相手は「機械」に向かって言ってるんだと割り切る、そんな発想の切り替えを勧めてみましょう。

 もちろん、なにより大切なのは、「機械の向こうには、自分と同じ人間がいる」と想像できる力を子どもに身に付けさせることです。自分と同じように傷つく人がいると意識しながら、加害者にも被害者にもならないネット利用をするよう、適切に指導してください。

石川結貴

石川結貴

石川結貴いしかわゆうき

ジャーナリスト

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…

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