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2022年06月13日

ロシア軍事侵攻から約100日

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ウクライナへのロシア軍事侵攻から約100日が経過しました。ロシアのプーチン大統領が休戦に向けた直接協議を拒絶する中、ウクライナのゼレンスキー大統領は東南部を中心に国土の約20%をロシア軍が制圧下に置いたことを発表しました。戦争初期から繰り返されてきた停戦協議はロシア軍による大量虐殺(ジェノサイド)判明以降、ウクライナ側も交渉を遮断しました。犠牲者拡大の最中、両国との友好関係を持つトルコが仲介となり国連代表団を含むトルコ国内での停戦協議開催の動きが急浮上。トルコはロシアからのエネルギー輸入や軍事兵器契約を維持しながら、仲介役を通じた欧州諸国での存在力アピールの外交戦略を打ち出しました。

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ロシア軍事侵攻を受け欧州諸国はロシア依存のエネルギー戦略を変革させています。天然ガスや石油のロシア供給を遮断し世界規模での多角的エネルギーネットワークを構築することにシフト。同時に欧州領域であってもロシアからのエネルギーに依存するセルビア、ハンガリー、トルコはロシアとの関係を維持しており、各国の立ち位置による対ロシアエネルギー政策の隔たりが出てきています。

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ウクライナ戦争では複数の地域でロシア軍による大量虐殺(ジェノサイド)が判明。首都キーウ郊外のイルピンやブチャ、ホストメルで残虐な殺戮行為が市民の証言から確認されました。南東部の激戦地マリウポリでは数千人のウクライナ内務省軍アゾフ大隊兵士がアゾフスタリ製鉄所に孤立。ロシア軍完全包囲の中、兵士たちによる徹底抗戦が続くも製鉄所は陥落。敷地内から150名以上のウクライナ兵士の遺体が回収されました。ウクライナ東部戦線にはロシア軍の大規模兵力が集中しており、すでにジェノサイドが勃発したことをウクライナ政府は発表。東部ドンバス地方ルハンスク州ではロシア軍が州内の約9割を制圧し要衝セベロドネツクでの焦土作戦を展開しています。ウクライナ政府はロシア軍事侵攻の引き金となった対ロシア軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)への加盟は却下したことを明言するも、NATOとの同盟ではない軍事連帯を提案し始めました。欧州におけるウクライナの地政学上の重要性を主張しながら中立国としての軍事戦略を模索しています。ウクライナ戦争が長期化する要因が複雑に絡み合っています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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