今年の7月、総務省から大変ショッキングな調査結果が公表されました。東京都内の高校生を対象に、「ネット依存」の調査を行ったもので、高校生男子、女子、学年別のネット依存度などが報告されています。
ちみなに「ネット依存」とは、ネットをやめたくてもやめられなくなってしまう、ネットを使いすぎて通常の生活に支障が出ている状態を指します。ここでは、調査結果の一部を挙げてみましょう。
依存傾向(%) | 高 | 中 | 低 |
---|---|---|---|
高校生男子 | 3.9 | 51.5 | 44.6 |
高校生女子 | 5.2 | 58.5 | 36.3 |
1年生 | 5.2 | 58.2 | 36.7 |
2年生 | 4.8 | 56.5 | 38.7 |
3年生 | 3.7 | 50.2 | 46.1 |
「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」総務省/2014年より抜粋
依存度が「高い」と判定された高校生の男子が3.9%、女子が5.2%です。一方、依存度が中くらい、低いと判定された生徒のほうが断然多いので、「なぁんだ、それほど深刻じゃないな」と安心される方もいるでしょう。
ところが、依存度別の1日(平日)のネット利用時間は驚くべき数字なのです。
〇依存度「低」 約2時間40分
〇依存度「中」 約4時間
〇依存度「高」 約6時間20分
依存度が「低い」と判定された子どもでさえ、1日3時間近くもネットを利用しています。依存度「高」に至っては6時間以上ですから、まさに寝る間も惜しんで、という状態に陥っています。
調査対象は高校生、人生の中で一番勉強やスポーツに集中すべき時期です。進路や将来の職業選択など、大切なことを決める年齢でもあるでしょう。友達との友情を深めたり、ボランティア活動で社会貢献したり、アルバイトで就労経験を積む、そんなふうにたくさんの思い出作りができる貴重な時間のはずです。
にもかかわらず、スマホやパソコンでネットに接続しつづけるとは、失うものが大きすぎるのではないでしょうか。
おまけに、この結果は現在の高校生の状況です。今後、高校生になっていくもっと年齢の低い子どもたちは、機器の発達や通信環境の整備などでますますネット利用がしやすくなるでしょう。現時点でさえこれほどの時間をネットに費やしていることを考えると、子どもたちの将来的な依存度はさらに深刻になるかもしれません。
いつでも、どこでも使えるスマホ。無料アプリが豊富にそろうスマホは、子どもにとって「夢のような宝箱」です。でも、その反面にある弊害や危険性を、ご家庭や学校ではきちんと認識しているでしょうか。
私は講演の中で、こうした厳しい話もお伝えするようにしています。実態を知った上でどう対策を考えるか、それがスマホ時代の子どもと向き合う第一歩だと思うからです。
石川結貴いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…
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