今年2月24日に始まったウクライナ戦争。約8ヶ月という歳月の中でロシアのプーチン大統領はウクライナ東部、南部の4州をロシア領土に併合することを発表しました。ドネツク州、ルハンスク州、ヘルソン州、ザポロジエ州での独自の住民投票を強行し、住民の約9割が賛同という信ぴょう性の低い投票結果を掲げ大統領令に署名。今後4州地域へのいかなる攻撃もロシア領域への攻撃とみなし、核兵器使用を辞さない報復攻撃を行うことを宣言しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領はいかなる条件でもロシアに対しウクライナ領土を割譲しないこと、同時に対ロシア軍事同盟であるNATO北大西洋条約機構加盟申請を発表しました。ロシア軍事侵攻の引き金となったウクライナのNATO加盟方針に踏み込むウクライナ政府の強硬戦術は、ロシア軍による領土強制併合や首都キーウ郊外のイルピン、ブチャ、北東部ハルキウ州のイジュームで判明したロシア軍による市民の大量虐殺ジェノサイドが引き金となりました。今後ロシアとの停戦交渉は消え去ったことも発表しており長期戦を念頭にした徹底抗戦を続ける姿勢を鮮明にしました。実際に南部のヘルソン州や北東部ハルキウ州でのウクライナ軍による領土奪還作戦が急拡大しています。
ロシア国内ではプーチン大統領が署名したロシア国民の部分的予備役動員令により30万人の予備兵力、実際には100万人に及ぶと想定される国民が強制的に兵力増幅のため前線に送られることが判明。戦闘に巻き込まれる危機感に国民の反発が強まり反プーチンを掲げた抗議デモが全土に連鎖。すでに数千人規模のデモ参加者が逮捕され、国外脱出者も30万人規模に及んでいます。ロシア国内の反戦のうねりは状況次第でロシア軍内部へ伝播し、軍部によるクーデター勃発の可能性までもが囁かれています。
ウクライナ東南部地域では現実としてすでにロシア化が加速しておりロシアパスポートの発給、ロシア通貨ルーブルの流通、ロシア国籍の認定、独自の住民選挙によるロシア寄りの地方自治体制の構築がなされています。プーチン大統領はウクライナ東南部ロシア併合の実績をアピールするも、世界各国が侵略による実効支配を承認することはありません。ウクライナは今後NATO加盟による欧州諸国との軍事的連帯を強めていきます。ウクライナ戦争中に加盟することは欧米諸国がロシア軍と集団的自衛権の規定で軍事的に直接交戦することを意味します。世界大戦とも言える大規模衝突を避けるためにウクライナの立ち地を明確にすることを避けながら戦争終焉の選択肢を模索するのが現実的かもしれません。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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