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2022年12月12日

ウクライナ戦争の被害状況

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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から約10ヶ月。ヨーロッパの国々で構成される欧州委員会は戦時下におけるウクライナ軍の兵力被害統計として死者数が約10万人に及んでいることを指摘。さらにアメリカ軍によるウクライナ軍被害検証でも約10万人の死傷者と認識されました。ウクライナ政府はこうした膨大な数の犠牲者は自国内で確認できず、反論声明としてウクライナ兵士の犠牲者は約1万3000人と発表しました。ウクライナ戦争が長期戦に突入したことでウクライナ、ロシア両国の兵力疲労は極限に達しており国民の士気に向き合った兵力立て直しの情報戦が激しさを増しています。

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ウクライナ戦争開戦時には約19万人の大規模兵力を展開したロシア軍の被害状況はさらに深刻で約10ヶ月の戦闘で少なくとも10万人規模の死傷者を出す状況に陥り、プーチン大統領はロシア国民の部分的動員令で30万人の追加兵力を緊急に確保しました。戦闘経験の乏しい動員兵力の犠牲を厭わずの戦術を繰り返すことで今後の戦況次第では戦術核兵器を使用する可能性も高まっています。侵略戦争というロシアの強硬で不安定な戦況の進め方には世界各国から非難の声があがっており、特にロシアと比較的友好関係にあった旧ソ連構成国からの反発はロシアの求心力低下を如実に表しました。アルメニアのパシニャン首相、カザフスタンのトカエフ大統領によるロシアと結ぶ集団安全保障条約機構(CSTO)でのロシアの舵取りへの不満はウクライナ戦争の地政学的戦況に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

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厳冬期を迎えたウクライナではロシア軍によるライフライン壊滅戦術が拡大しておりウクライナ国内の約60%の電力供給が遮断されました。ロシア軍事侵攻を非難してきたウクライナ南西部の隣国モルドバでも電力停電が深刻化を増しています。反面ウクライナ軍の攻勢は続いており南部拠点ヘルソンを奪還したことでロシア軍と対峙するドニプロ川西岸を管理下に置きながら軍事戦線を段階的にロシア実効支配地域ドニプロ川東岸に切り込んでいます。ウクライナ中南部にある欧州最大級の原子力発電所ザポロジエ原発でも武力占拠していたロシア軍がウクライナ軍の攻勢と放射性被害拡大の懸念から撤収する兆候が出ています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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