2月14日、StValentine’sDayが近づくと思うことがあります。これ以上「女性が愛の見返りを求めるキャンペーンにならなければいいナ…」
新しいプロジェクトで一緒に仕事をしている30代の経営コンサルタントの男性は、整ったルックスに頭脳も明晰。都心の一等地に個人事務所を構えて、月100万のクライアントを数本かかえて頑張っています。順風満帆に見える彼と、打ち合わせで何度か会ううちに、「僕には、もう何年も金曜日の夜が無いんです」と打ち明けられました。聞けば、どんなに仕事が忙しくても、金曜日の夜は奥さんのもので、5時には仕事を終えてまっすぐ帰宅。30分で子供のご飯をつくって、家事をこなし、門限無しで日付が変わってから帰ってくる彼女を待っているということでした。「結構、耐えてるね」と言葉をかけると、苦笑しながら、「クライアントからの誘いも、友人からの誘いも断って、金曜日から土曜日の予定をすべて封印することが彼女への愛の証、家庭の平和のために必要なんです」との返事が返ってきました。
もう一人、かれこれ10年以上のお付き合いがある40代のフリージャーナリストも、愛の証、家庭の平和のために、毎日、私学の小学校に通う娘の送り迎えと、お弁当作りを続けています。美人キャビンアテンダントと結婚したものの、奥さんはフライトスケジュール優先の生活があたり前。ジャーナリストとして深夜から朝方にかけての仕事も多く、原稿を書きながら寝落ちしてしまってることの多い彼を不憫に思う事もしばしばです。
「彼女、感謝してるでしょ?」と聞くと、「いや、当たり前と思ってるでしょ」と淡々とした答えが返ってきました。
そして、もう一人、知人の50代会社社長の場合は、求められる愛の証は奥さんの買い物三昧を許すこと。今や、エルメスのバッグは最高級のクロココレクションに至り、ジュエリーは最高峰のハリーウィンストン、ついに、去年から海外にダイヤモンドの原石を買いに出かけるスケジュールまでおさえられてしまったとのこと。「嫁さんの欲しいものリストには天井が無いからね」と嘆きながら、それに答えることこそ家庭の平和を保つ唯一の方法だと、達観している様子です。「生まれ変わっても、彼と結婚したい」以前、彼の奥さんを取材した時に、そう答えていた理由は、ブランド品や不動産といった見返りがあることが愛の証だと言っていたのだと思うと、なんとも淋しい気持ちになりました。
30代,40代、50 代と、世代も職種も違う三人ですが、彼らはみな恋愛結婚。かつて、2月14日に手渡されたチョコレートに「ただ伝えたい愛」を感じたことがあったのでしょうか?初めて、お返しをしたホワイトデー以降、「愛の見返り」を求められる日々がずっと続いているのだとしたら、何だか悲しくなってきます。きっと、彼らのように、多くの男性が時間やモノ、行動に愛の証を求められ、苦しい、いばらの道を歩んでいるのではないでしょうか?
St.Valentine’sDay の歴史と意味をもう一度考えてみると、西暦3世紀のローマで、皇帝クラウディウス2世は若者が戦争に出たがらない理由は、自分の家族や愛する人と別れたくないからと確信して、結婚を禁止。そこで、愛し合うもの同士が結婚できるよう秘かに取り計らっていたのがキリスト教司祭、バレンティヌス。神の愛を伝え、実践することをやめなかった彼は西暦269年2月14 日に処刑され亡くなりましたが、後に恋人たちの守護聖人として慕われるようになり、2月14日は愛を伝え合う日となっていきました。恋人たちの守護神が、一番望んでいないのは「見返り」です。「あなたが大切です。愛しています」という気持ち、相手を想う気持ちをただ伝えることを、次世代の女性たちに実践してもらいたいと思います。そうすれば、相手からも,本物の愛、心が返ってくるからです。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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