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2023年03月09日

AI検索に神経を尖らせるGoogle

先月のコラムでChatGPTについてご紹介しましたが、その後地上波のテレビなどでも取り上げられるようになり、すっかり一般的な話題になってしまいました。しかし、わざと意地悪な質問をして間違ったことをあげつらうような番組や記事も多い様です。前回も書いたように、今のAIはまだまだ発展途上であり、誤りに注目するよりはその可能性を感じるという姿勢が大切だと思います。いずれにせよ、特定のAIサービスがここまで注目され、一般の人に認知されたのは初めてでしょう。AIの進化が新しい段階に入ったことを実感させられます。

AIが進化することで、既存の産業構造に大きな変化が訪れるのは間違いありません。数年前に、「AIによって無くなる職業」のような議論が盛り上がりましたが、その恐れが現実のものになってきました。その中で今回、ChatGPTに対して強い警戒感を表わしたのがGoogleです。Googleと言えば世界でも最先端のAI技術を持っており、これまでAIの研究を牽引してきました。実際、ChatGPTの学習モデル(Transformerと呼ばれ、GPTのTです)を開発したのが他ならぬGoogleなのです。そのGoogleが、AIによってビジネスを脅かされているのです。

Googleの収益源は、Google検索の結果画面や、飛び先のWebサイトに表示される広告です。広告がクリックされる度に、Googleに収益がもたらされるのです。以前はGoogleの収益の90%以上が広告でしたが、今でも8割以上は広告収入ということです。文字通り、Googleの屋台骨なのです。
しかし、ChatGPTが一般に普及し、精度がどんどん高まっていくとどうなるでしょう? ChatGPTに尋ねれば満足の行く答えが返ってくるということになると、人々は検索をしなくなるかも知れません。そうなれば、Googleのビジネスは大きなダメージを被るというわけです。

ChatGPTが公開されたのは昨年(2022年)の11月末ですが、それから1ヶ月も経たない12月下旬、Googleの経営陣は社内に「コード・レッド(緊急事態)」を宣言したと伝えられました。ChatGPTに対抗できるサービスを早急に開発しなければならない、という危機感を表明したのです。
そして2023年2月、Googleは限定的ながらChatGPT対抗のサービスを開始すると発表しました。コード・レッドの宣言から2ヶ月も経っていないタイミングで、Googleの危機感が本物であることを感じさせます。発表時のデモで失敗するなど、Googleらしからぬ慌てぶりでしたが、これだけの短期間で新サービスを発表できるというのも凄いことです。これまでこのコラムでも触れてきたように、環境の変化に迅速に対応できる、このスピード感こそがDXの本質と言えるでしょう。

大越章司

大越章司

大越章司おおこししょうじ

株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役

外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…

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